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夢かなわなくても別の形の幸せがある…プレイアンドリアルの今

2018年8月13日12時0分  スポーツ報知
  • 2014年の京成杯勝ち馬プレイアンドリアル。北海道恵庭市にあるすずらん乗馬クラブで乗馬になっている

 「夢はかなったんですか? ご自身は」。取材中に突然逆質問され、思わず口ごもった。少しはかなえた気もするし、全然かなえてない気もする。ド直球な問いに動揺してしまった。

 毎年約7000頭が生産されるサラブレッド。無事にデビューできても、その多くは志半ばで引退する。北海道恵庭市のすずらん乗馬クラブにいるプレイアンドリアルも、その一頭だ。

 5年前に競馬界を騒がせた、ホッカイドウ競馬出身のデュランダル産駒。“馬を見る天才”の異名を取る岡田繁幸オーナーに「最高傑作」と言わしめた逸材で、JRA重賞の京成杯を勝利し、地方所属馬初の日本ダービー制覇を目指したが、右前けいじん帯炎を発症。ダービーはおろか皐月賞にも出られず、わずか5戦で競走生活を終えた。

 「種牡(しゅぼ)馬にするか、ずいぶんと迷ったみたいで、『去勢しないで1年間置いてほしい』とマネジャーさんに言われたんです」。すずらん乗馬クラブの代表・浜田桂子さんは、当時を振り返った。冒頭の声の主である。乗馬は去勢するのが一般的だが、それを行うと種牡馬にはなれない。約束した1年間が経過し、「『社長、どうしましょうか』と聞いたら、『諦める』と」。岡田氏が経営する牧場に、G1・6勝馬ゴールドシップが種牡馬入りするタイミングも重なり、“第2の夢”も絶たれた。

 セン(せん)馬となった今は、緑豊かな乗馬クラブで生徒たちを乗せている。研ぎ澄まされていた馬体は丸みを帯び、表情も穏やかになっていた。「会員さんはみんな、プレイを気に入っているのよ。見に来るファンも多くて、先日は鹿児島から2人の女性が来ました」。祈り(プレイ)と現実(リアル)の結末は、多くの愛にあふれ、無念さは不思議と感じなかった。たとえ夢がかなわなくても、どんな道に進んでも、そこには幸せがある。そう教えてくれた。(記者コラム・石野 静香)

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