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クイーンCの主役2頭と友道調教師を巡る不思議な縁

2019年2月8日18時52分  スポーツ報知
  • クイーンCで復帰するビーチサンバ

 新聞記者という仕事柄だろうか。色々な人と話している時、縁や巡り合わせを感じさせるような話に敏感に反応してしまう。今回もそうだった。友道康夫調教師と昨年末のG1、阪神ジュベナイルフィリーズで3着に入り、クイーンCで復帰するビーチサンバの話をしていると、何度も「へぇ~」とうならされる興味深い話が飛び出した。

 今回はその阪神ジュベナイルフィリーズで2着に入り、先着を許したクロノジェネシスとの一騎打ちムード。そのライバル、実はお母さんのクロノロジストは友道厩舎に所属していた馬だったのだ。現役時代はわずか2戦で1勝。しかし、花開いたのは引退後に繁殖牝馬となってからだった。中央でデビューした子8頭中7頭が勝ち上がり、計17勝を挙げている。現4歳のノームコアは昨年の紫苑Sを圧勝し、エリザベス女王杯でも2番人気に推されたほど。今年の古馬牝馬戦線の中心を担う一頭だ。

 「現役時代はそんなに印象深いような馬じゃなかった(笑い)。だけど、いい子供を産んでるよね。ノームコア(父ハービンジャー)もクロノジェネシス(父バゴ)も、すごい種牡馬というわけでもないのに。やっぱり、自分の厩舎にいた馬の子供は気になるよ。クロノジェネシスだって、デビュー前から知っていたし、デビュー戦も見ていたからね」

 そして、こう言葉を続けた。「繁殖牝馬は最終的にやっぱり血統が大きいと思うよ」。このクロノロジストは母の姉に重賞4勝を挙げたフサイチエアデールを持つ。ここで「あれっ?」と思った方も多いだろう。そう、フサイチエアデールはビーチサンバの母親でもある。つまり、クロノロジストとビーチサンバは血統上、従兄弟の間柄。ということは、今年のクイーンC、いや、3歳牝馬戦線の主役候補と言えるクロノジェネシスとビーチサンバは非常に近い親戚関係にあるということになる。

 話をビーチサンバに戻そう。昨年は最多賞金獲得調教師賞を受賞したように、今や日本競馬界の中心的存在と言える友道調教師だが、この3歳牝馬は同師にとって「ルーツ」とも言える存在だ。それは父のクロフネ、母のフサイチエアデールとも、まだ開業前に松田厩舎で助手をしていた頃、調教をつけていたから。両親の背中を知っている馬に、調教師として携わるということは非常に珍しい。

 「クロフネはダンプカーみたいな走りだった。エアデールは乗り味がすごいという感じではなくて、精神力で走っていたような馬だったね」と懐かしそうに振り返る。2頭の名馬の記憶が重なる結晶体は、このクイーンCから母が2着と惜敗した桜花賞・G1(4月7日、阪神)へ向かう予定だ。「桜花賞の頃にはもっと良くなると思う。何とか賞金を加算したい」。母子2代で目指す「夢」へ向け、大きな一歩を期待する。

 競馬はブラッドスポーツと言われるように、何代にも積み重なった血のドラマがある。また、今年でデビュー33年目を迎えた武豊のように騎手は息の長い活躍が可能なスポーツで、競走馬を管理する調教師の定年は70歳。現役としてサラブレットに携わる期間は非常に長い。取材すればするほど、奥深さを感じるが、これが競馬記者の醍醐味でもある。今後も新たな驚きを求めて、色々な場所で話を聞いていきたい。(記者コラム・山本 武志)

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