【香港マイル・能力分析】上位独占を狙う地元香港勢をチェック

スポーツ報知

 G1香港マイルが12月9日に迫った。日本からはヴィブロス、ペルシアンナイト、モズアスコットのG1馬3頭が出走する。過去5年を振り返ると、3着以内馬15頭のうち13頭が香港調教馬で、残り2頭が日本調教馬だった。また、欧州勢は2011年2着のシティスケイプ(イギリス)を最後に好走例がない。近年の香港マイルは、地元香港勢と日本勢による争いという図式になっている。

 豪華布陣を敷いた日本調教馬への期待は大きいが、今回は昨年の覇者で、香港最強マイラーのビューティージェネレーションが立ち塞がる。同馬についてはステップレース分析をご覧いただくとして、小欄では上位独占を狙うその他の香港勢をチェックしたい。

 ビューティーオンリー(セン7歳、香・Aクルーズ厩舎)は、2016年の香港マイル優勝馬。その後は勝ち星がなく、昨年の香港マイルで7着に敗れるなど不振が続いた。復調を示したのが4月のG2チェアマンズトロフィー(芝1600メートル)。前半800メートル通過が46秒88のハイペースと、この刺激的な流れが効いたのか、後方から豪快な追い込みを決めた。タイムも1分32秒84と優秀だった。ムラ駆けな面は否めないが、甘く見ていると強烈な追い込みを見せる。年齢的にこれ以上の上積みは望めないにしても、馬券は押さえておく必要があるだろう。

 サザンレジェンド(セン6歳、香・ファウンズ厩舎)は、4月のG1チャンピオンズマイルで3着。直線半ばではおよそ上位争いに加わりそうにない手応えながら、残り100メートルあたりでジワジワと加速し、ビューティーオンリー(4着)を抑えた。筆者としてはチャンピオンズマイルのようにスローペースで台頭する馬だと思っていたが、そのイメージを覆したのが前走のG2ジョッキークラブマイル(芝1600メートル)。前半800メートル通過が46秒51という速い流れに対応して、ビューティージェネレーションの2着に好走した。進境を示しており、穴候補の一頭として警戒したい。

 シンガポールスリング(セン5歳、香・ミラード厩舎)は、香港4歳シリーズ3戦のひとつ香港クラシックカップ(芝1800メートル)の勝ち馬。前々走のG2シャティントロフィーでは、53キロの軽量とはいえ、逃げ切ったビューティージェネレーションに半馬身差まで迫った。走破タイムの1分33秒15も水準以上。前走のジョッキークラブマイル(4着)こそ案外だったが、香港でのキャリアはまだ8戦と浅く、成長途上の感がある。紛れが生じた際に、上位に食い込む余地があるだろう。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、南関東版・競馬ブックと研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。ラジオNIKKEIの「香港国際競走実況中継」に出演予定。

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