ウルグアイに歴史的勝利!史上最高の代表へ予測超え攻撃と新世代の「自信」…番記者が見た

スポーツ報知
後半21分、南野のゴールに喜ぶ長友、中島、堂安(カメラ・川口 浩)

 サッカー日本代表のMF南野拓実(23)=ザルツブルク=、MF堂安律(20)=フローニンゲン=ら海外組がFIFAランク5位ウルグアイ戦の歴史的勝利(4○3・埼玉)から一夜明けた17日、所属クラブに合流するため、離日した。MF中島翔哉(24)=ポルティモネンセ=、南野、堂安の新世代攻撃陣にとって、強豪を撃破した意味とは―。日本代表を2001年から取材する内田知宏記者が、過去最高の攻撃陣が生まれる可能性を「見た」。

 スタンドの高い位置にある記者席からは、ピッチ全体が見渡せる。どこにどの選手がいるかは把握でき、ボールを持った時は、2、3手先までパスの流れが予測できる。予想通りにボールが動けばストレスは感じない。しかし、ウルグアイ戦は特別だった。あらかじめパスが渡るであろう選手に視線を向けても、ボールがついてこない。

 堂安からパスを受けた中島は、スペースのある左サイドにパスを出さずにシュートを放つ。大柄なDFを背にした南野は後方に落とすのではなく、反転してゴールへ。堂安は安易なバックパスはせず、キープ力を生かして、ファウルをもらうか、仲間がより効果的な位置に移動する時間を作る。ウルグアイの守備を後手に回らせ、攻撃が完結するからストレスを感じなかった。

 2列目の3人は若い。さらに、ここ8年は日本代表の主力が固定されていた。形が完成されたチームになればなるほど、プレーは予測の中に収まり、経験を積んだ選手が入ると、リスクを回避した選択が増える。ここまで裏切られることは新鮮で、時計が進むにつれ、次の裏切りを待つようになっていた。

 得点に、勝利につながった意味は大きい。トルシエ・ジャパンの頃から取材してきた。若手が抜てきされた時、多くは試合後「俺、何点?」「監督は何か言っていた?」と聞いてきた。日本代表にふさわしいプレーの物さしを持っていないため、不安を抱えながらデビューする。重圧を感じ、結果を出せずに「行きたくない」と漏らした選手もいた。

 3人からは「自信になった」という言葉が聞かれた。ありふれた言葉だが、香川真司、乾貴士ら実力者と比較されるポジションで、強豪を相手に結果を残した。彼らの言葉は不安が消えたこと、そして日本代表に居場所を作ったことを意味し、カタールW杯へ、避けては通れない世代交代の下地ができあがったと言える。

 1トップ大迫勇也がつぶれ役、ボランチや両サイドバックが黒子役に徹し、3人が良い形でボールを持つ機会が増えたことは見逃せない。ただ、それらを抜きにしても本田圭佑世代が台頭してきた時と似たような勢いを感じ、時代が動く感覚を覚えた。史上最強の攻撃陣ができるかもしれない、という期待が膨らんだ。

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