【岩本輝雄のDirecto】大迫とトップ下3人の連動は組織としても「個」としても素晴らしい

スポーツ報知
前半、ベネズエラ選手からボールを奪う南野(奥は大迫=カメラ・石田 順平)

◆国際親善試合 日本1―1ベネズエラ(16日・大分銀行ドーム)

 今年6月のロシアW杯で日本代表のグループリーグ突破を点数までほぼ的中させ、「予想がハンパなく当たる評論家」として名を挙げた元日本代表MF岩本輝雄さん(46)が「スポーツ報知」解説者デビュー。「岩本輝雄のDirecto」(ディレクト=スペイン語で「直接、まっすぐに」の意味)と題し、1―1のドローに終わったベネズエラ戦を徹底分析。「大迫とトップ下の3人の距離感は素晴らしい。今、自分が何をすべきかが分かっている4人です」と、その戦い方を高く評価した。(構成・中村 健吾)

 日本代表はブロックを作って、しっかり守ってくるベネズエラ相手にいい試合をしたと思う。ベネズエラは強いチームだけど、2点目が入っていたら決まっていた試合だった。

 大迫勇也(28)=ブレーメン=とトップ下の3人、南野拓実(23)=ザルツブルク=、中島翔哉(24)=ポルティモネンセ=、堂安律(20)=フローニンゲン=の距離感がすごく良かった。あれだけテクニックのある選手がドリブルもあり、ワンタッチ、ツータッチのパスもあり、裏の抜け出しもありで連動して攻めてくる。相手DFは捕まえられないと思う。

 特に南野、堂安、中島はドリブルもうまい、シュートも打つ、ダイレクトプレーも速いと魅力十分。今、世界のサッカーの主流となっているサイドハーフは縦より斜めにゴールに向かって、シュートを打ちに行く。あの3人は世界のサッカーの主流の動きを身につけつつある。

 あの若さで自分のやるべきこと、チームでの役割が分かっている。普通、あのくらいできちゃうと、「自分が、自分が」という形で独りよがりなプレーに走りがちだけど、パスも出せるし、「今、フィールドで何が起こっているか、自分が何をすべきか」が分かっている。

 本当にキープがうまい大迫と4人で連動して動けるから、あの4人が近くにいると、組織としても生きるけど、「個」としても、もっと生きる。

 間違いなく能力の高い若手3人だけど、今後、1月のアジア杯などの真剣勝負で研究された時に、どれほどの違いが生み出せるかには、一つクエスチョンマークがつく。

 所属チームで試合に出ていない柴崎岳(26)=ヘタフェ=も試合勘の鈍りは感じなかった。至って問題なくプレーしていた。遠藤航(25)=シントトロイデン=も地味ながら自分の役割を果たしていた。潰すところは潰して、サイドバックが上がった時もカバーできていた。

 守備に冠してはシュミット・ダニエル(26)=仙台=は高さがあるし、ミスなく、フィードも良かった。冨安健洋(20)=シントトロイデン=とともに空中戦で負けないのは魅力。日本の課題は「高さ」だったから。ただ、冨安も吉田麻也(30)=サウサンプトン=がいるからこその安定だったとは思う。

 会場到着が遅れたことはパフォーマンスに影響しなかったと思うし、選手たちは普通にプレーしていた。酒井宏樹(28)=マルセイユ=も無難にやっていた。あのPK献上はもったいなかったとは思うけど、代表49試合目での初ゴールは素晴らしい。

 森保ジャパン4連勝はならなかったけど、それは気にしなくていい。今は試しの段階だし、親善試合と真剣勝負は全く違う。ただ、このチームは選手が窮屈そうでなく、みんな気持ち良さそうにプレーしている。そこが魅力だと思う。

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