【二宮寿朗の週刊文蹴】難しい初戦「しぶとく勝った」で十分

スポーツ報知
試合後、サポーターの声援に応える大迫勇也(中央)ら

◆アジア杯1次リーグ第1戦 日本3―2トルクメニスタン(9日、UAE・アブダビ、アル・ナヒヤーンスタジアム)

 アジア杯の初戦は、やはり難しいということか。

 トルクメニスタンに3―2の辛勝。日本代表のミスはやたらと多かったし、動きも重かった。縦パスは網に引っ掛かり、相手のカウンターやセットプレーでヒヤリとさせられた。先制されたミドルシュートでは誰も体を寄せていなかった。しかしトルクメニスタンをナメていたわけではないと思う。

 心身のコンディションは70%ほどと見受けられた。そのマイナス30%がミスや重さ、集中力の欠如につながっていたと解釈する。それでも勝ち点3を得たのだから、むしろ辛抱強く勝ち切ったことに目を向けたい。引いてきた相手に対する崩しやカウンターの対処に課題は残るものの、所属クラブで出場機会に乏しい選手や、合流間もない選手もいる。バラバラのコンディションを合わせ、環境にアジャストするにはある程度時間も必要だ。そう考えれば目くじらを立てなくていい。

 アジア杯はW杯ではない。W杯であれば1次リーグ初戦から100%に近い状態で臨まなければならないが、アジア杯は言わば優勝が義務づけられた大会。今回から出場チームが16から24になり、各組3位まで突破の可能性がある。まして決勝トーナメントは1試合増えている。2月1日の決勝まで7試合トータルで考えるなら、最初から飛ばさなくていい。

 優勝した11年のカタール大会。初戦のヨルダン戦は最後の最後に追いついての引き分けスタートだった。危機感を発奮材料にして尻上がりに調子を上げていったわけだが、初戦に関してはこのときのほうが内容は良くなかった。吉田麻也、長友佑都、権田修一にはカタール大会の経験もある。焦らなくていい。

 次のオマーン戦も簡単な試合にはならないだろう。だが今はコンディションを上げつつ結果重視でしぶとく勝っていくことが先決。本当の勝負はトーナメントに入ってからだ。(スポーツライター)

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