森保ジャパン、10戦無敗で2大会ぶりの4強入りもミス無視に違和感

スポーツ報知
後半、競り合う冨安(左から2人目、右から遠藤、大迫、左端は吉田=カメラ・竜田 卓)

◆アジア杯決勝トーナメント準々決勝 日本1―0ベトナム(24日、UAE・ドバイ・アルマクトゥームスタジアム)

 FIFAランク50位の日本は同100位のベトナムを1―0で下し、優勝した2011年以来2大会ぶりの4強入り。後半12分、MF堂安律(20)=フローニンゲン=が、準々決勝から採用され、この試合2度目となるビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)判定で得たPKを決めた。森保一監督(50)は就任後10試合不敗となったが、選手のとらえ方の違和感を内田知宏キャップが「読み解く」。

 違和感は試合が終わってから、さらに増した。ベトナムを下した直後、取材エリアでは多くの選手がチームの成長を感じ、前向きな言葉を残した。要所を締めて無失点に抑えたことで「問題ない」とするMF遠藤。FW北川も「縦パスも入ってきてるし、試合を重ねるごとに徐々に良くなってきていると思う」とプラスの方向に目を向けた。

 DF長友は13年コンフェデレーションズ杯(ブラジル)のイタリア戦(3●4)、18年ロシアW杯のベルギー戦(2●3)と善戦した2試合を引き合いに出した。「結局勝ったチームが強い。強いチームが勝てるのはこういうところ。良いサッカーをしても勝てないと意味がない。10年くらい代表にいますが、攻められても余裕があるというか、強さがあると思う。成長を感じる」

 MF原口は自陣で無理な体勢からクリアに失敗し、ピンチを招いた。DF吉田はGK権田とのパス交換のミスから失点必至の状況をつくった。VARによって吉田のゴールが取り消しになったが、後半10分にMF堂安のプレーがPKと判定。その1点で勝利した。VAR判定が2度同じチームに使われる試合も珍しいが、決定的なピンチを相手が2度逸してくれたことも珍しい。

 同じ苦戦でも相手や戦況によって招いたものと、自分たちの足りないことに起因するものがある。今大会ではオマーン戦(13日)とサウジアラビア戦(21日)は同じ1―0でも日本が判断して「耐える」「コントロールする」ことを選んだが、ベトナム戦は自ら苦戦の道へ迷い込んだ。前向きになれる要素は、こじ開けようとする堂安の姿勢ぐらいだった。

 長らく鹿島を担当してきた。このような試合を何度も見たが、選手が取る態度は決まっていた。敗者のように反省の弁を口にするか、試合内容への怒りを見せるか。個人的なミスは意識一つで改善できる。「次は大丈夫」ととらえるか「なぜできなかったんだ」ととらえるか。その差が、そのまま勝率につながるところを見てきた。

 準決勝の相手はイランに決まった。FIFAランクはアジア最高の29位。対アジアの公式戦では39戦無敗を続ける格上だ。吉田は「個人としてのパフォーマンスも良くなかった。次に良いパフォーマンスを出してチームに貢献するしかない」と言った。勝ったチームが強いのは間違いないが、その裏には勝つために臭いものにフタをしない、厳しい目があってこそ、である。

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