鹿島公式インスタを“ペルシャ語ジャック”?ACL決勝取材で体感したイランのサッカー文化

スポーツ報知

◆アジア杯▽準決勝 日本―イラン(28日、UAE・アルアイン)

 FIFAランク50位の日本は同100位のベトナムを1―0で下し、優勝した2011年以来2大会ぶりの4強入り。後半12分、MF堂安律(20)=フローニンゲン=が、準々決勝から採用され、この試合2度目となるビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)判定で得たPKを決めた。

 準決勝で日本と対戦するイランは、対アジア勢の公式戦39試合負けなしと無類の強さを誇る常勝軍団。昨年11月にACL決勝・鹿島―ペルセポリス(イラン)の取材で現地に赴いた鹿島担当・岡島智哉記者が、アジアの盟主として君臨するイランサッカーの強さの秘訣(ひけつ)を「見た」。

 鹿島の公式インスタグラムに“異変”が起き始めたのは、18年10月下旬。ACL決勝でペルセポリス(イラン)との対戦が決まった直後からだ。あらゆる投稿に、とてつもない数のペルシャ語のコメントが並ぶようになった。ペルセポリスファンの挑発行為なら理解できる。だが大半が鹿島に好意的な内容であり、青いハートマークで締められていた。

 ◆宿敵惨敗願い鹿島を応援

 「エステグラルというチームのファンが鹿島を応援し始めたようだ」と担当者。エステグラルにとって、ペルセポリスは国内の人気を二分する憎きライバル。宿敵の惨敗を願う思いを鹿島にぶつけたようだ。“ペルシャ語ジャック”は選手のアカウントにも飛び火したという(中でもMF土居聖真が大人気らしい)。テヘランの街を歩くと、ペルセポリス・ファンには「俺たちが勝つ」と絡まれ、エステグラル・ファンには激励の握手を求められた。

 ◆欧州や南米並みのサッカー文化

 アジア12か国でサッカーを観戦したが、ここまで宿敵を憎悪する文化は見たことも感じたこともない。欧州や南米のようなサッカー文化の土壌がイランにはあった。テヘラン開催の第2戦に集まった観衆は公式発表で10万人。真横に座った記者との会話もできないほどに超満員の会場は沸いていた。会場の収容人数は8万人だったはずだが…。

 ◆ここ4年で公式戦1敗のみ

 対アジア公式戦39戦無敗。15年アジア杯以降の公式戦は1敗のみで、最後の90分でのアジア杯黒星は23年前。ベトナムの朴恒緒監督が日本戦前の会見で「分析はしたが…。弱点はなかった」と苦笑いしていたのを思い出す。森保監督は異次元の強さを誇る常勝軍団を倒す青写真が描けているだろうか。(岡島 智哉)

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