【岩本輝雄のDirecto】完敗だったからこそ見えてきた日本の未来像…有意義だった初の国際大会

スポーツ報知
後半24分、今大会初ゴールを決めた南野拓実。若手が貴重な経験を積んだ大会だった

◆アジア杯 ▽決勝 日本1―3カタール(1日、UAE・アブダビ・ザイード・スポーツシティスタジアム)

 史上最多5度目のアジア制覇を狙った日本代表だったが、FWアリ(22)のスーパーゴールなどで1―3の完敗。カタールに初優勝を許した。元日本代表MF岩本輝雄さん(46)は「全てにおいて負けていた」と認めつつも、今大会初ゴールの南野拓実(23)=ザルツブルク=、大会を通じて急成長を見せた冨安健洋(20)=シントトロイデン=の名前を挙げ、「チーム作りはこれから」と日本代表の未来に期待を寄せた。(構成・中村 健吾)

 今日は相手が思った以上に強く完敗だった。全てにおいて負けていた。立ち上がりの1点目は不運だったが、2点目が痛かった。つなぎからフィニッシュまで素晴らしいシュートだったが、守備の人数もいただけに打たれる前になんとかなったのではないか。

 前半、日本は、あそこまで攻めてくるとは思っていなかったのではないか。攻撃もほとんど形を作れなかった。後半、相手が疲れてきたところで1点を返し攻勢を仕掛けたが、追加点を取れなかったのが痛かった。

 いつも完璧にボールをキープする大迫勇也(28)=ブレーメン=もこの日はなかなか、足元にボールを収めることができなかったので、2列目の南野、堂安律(20)=フローニンゲン=も連動してのいい形が作れなかった。予想以上に相手が速くて強かった。一歩目、二歩目があれほど速いとは。今までの相手なら抜けている所も最後の最後で足が伸びてきて、止められていた。

 このレベルになって来ると、1人ではなかなか、突破できない。やはり、このチームの攻撃は大迫次第ということが改めて分かった。

 後半24分の南野の得点シーンのような場面こそ日本代表の攻めの形。あの距離感でボールが回せると、どのチームとやっても、チャンスができる。南野の今大会初ゴールは、どことやっても通用する一発だった。

 カタールは元スペイン代表のシャビ(39)が帯同こそしていなかったが、代表チームの“コーチ”をしているのも非常に大きい。自国開催の2022年W杯に向けて、本当にいい準備をしている。日本も強くなっているが、アジアもすごくレベルが高くなっている。

 優勝はしたかったが、若い選手が多い中での準優勝。チーム作りはこれからだし、南野や後半に果敢な攻め上がりを見せた冨安など、今後が楽しみな選手が多い。森保ジャパンにとっては、有意義な初めての国際大会となったと思う。

 6月にはブラジルでの南米選手権がある。完全アウェーの中での戦いが今から非常に楽しみだ。

(題名のDirecto・ディレクト=スペイン語で「直接、まっすぐに」の意味)

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