香川真司「番号でやるわけじゃない」10番へのこだわりからの変化

スポーツ報知
リラックスした表情で練習する香川(左は室屋=カメラ・宮崎 亮太)

 日本代表は18日、横浜市内で親善試合の22日・コロンビア戦(日産ス)に向けた合宿をスタートした。昨年6月のロシアW杯以来となる代表復帰を果たしたMF香川真司(30)=ベシクタシュ=は、注目される背番号10の行方について「番号でやるわけじゃない」と発言。近年は10番へのこだわりを語ってきた香川の変化を、代表担当の金川誉記者が「読み解く」。

 森保ジャパン初合流となったこの日、リフティングなど軽めの練習を終えて取材に応じた香川は、背番号10へのこだわりについて質問を受けた。「その話は聞かれるとは思っていた。番号でやるわけじゃない。もちろん10番は自分にとって誇りですけど、それは誰が決めるかわからない。楽しみです」と笑顔で答えた。当然、11年アジア杯から18年ロシアW杯まで、計7年半にわたり背負った番号に愛着はあるはずだ。だが、これまでとは違う立ち位置で代表に加わった香川に「もう、10番という看板は必要ないのでは」と感じた。

 ロシアW杯後、10番はMF中島、1月のアジア杯では中島負傷で追加招集されたMF乾がつけた。アジア杯は準Vに終わったが、森保ジャパンの骨格はできつつある。香川は2度のW杯で10番=エースとしての役割を期待されてきた。だが、MF南野、堂安ら若手を軸に構成されてきた2列目で、香川に求められるのは絶対的エースとしての振る舞いではないだろう。

 香川はトップ下でポジション争いする可能性のあるMF南野について「(自分とは)タイプが違う。アジア杯もゴールはなかなか取れなかったけど、推進力があってパワフルなところは彼の特徴。うまくお互いがピッチの上でいいプレーができるように」と語った。ライバル、というより共存を視野に入れた発言だった。高い技術で仲間の特徴を最大限引き出すプレーも香川の武器。エースとして試合を決める役割を期待されたこれまでと違い、森保ジャパンでは若手のアタッカーを生かす、チャンスメーカーとしての役割を意識しているのでは、と感じた。

 14年ブラジルW杯での不調など、10番の重圧に苦しんだこともあった香川。しかしロシアW杯ではコロンビア戦のPKなど16強進出に貢献し、その“ジンクス”にけりはつけた。W杯後は出場機会のなかったドイツのドルトムントからトルコのベシクタシュに移籍し、リーグのレベルこそ下がったがのびのびとしたプレーを披露している。今後は日本代表でも若い世代が、香川が背負ってきた重圧を引き継いで成長すればいい。香川は少しは軽くなるであろう背中で、新たな役割を果たすこともできるはずだ。

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