柴崎が警鐘「捉え方によっては危険な状況」0―1をどう評価すべきか、柴崎の真意を「読み解く」

スポーツ報知
前半、ファルカオ(左)にプレスをかけボールを奪う柴崎(中央)と佐々木(カメラ・竜田 卓)

◆国際親善試合 日本0―1コロンビア(22日・日産スタジアム)

 日本代表はコロンビア代表に0―1で敗れた。初めてゲーム主将を務めたMF柴崎岳(26)=ヘタフェ=はチーム状態について「捉え方によっては危険な状況」と警鐘を鳴らした。決して口数が多くない司令塔が漏らした本音の背景を、岡島智哉記者が「読み解く」

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 慎重に言葉を選んでいた。それでも柴崎の口から出てきた言葉は他の選手よりも数倍鋭く、重いものだった。

 「捉え方によっては危険な状況なんじゃないかと思います。この試合をどう評価するか。選手の評価の不一致が起きている時は、選手個々の意識にズレが生まれる。そこが僕的にはどうなのかなと思います」

 ロシアW杯で勝利(2―1)した相手とは言え、当時は前半早々の退場で相手は10人だった。そんな格上国から16本のシュートを放った。失点はPKによる1点のみ。森保ジャパン初の無得点試合となったが、数字だけ見れば「善戦」であり「惜敗」かもしれない。実際に取材エリアにはそこまで重苦しい雰囲気は流れず、笑顔を見せる選手もいた。だが柴崎は悔しさをかみ締めるように硬い表情を崩さなかった。

 2列目の個の能力は確かに光ったが、得点には結びつかなかった。前半の勢いは後半途中で失速。直後にギアを上げたコロンビアに攻め込まれた。柴崎は若手が血気盛んに持ち味を出そうとする場面ではあえて自分を殺し、展開が落ち着いた場面で諭すように連携での崩しをもくろんで積極的に前線へ飛び出していった。しかし周囲との呼吸は合わなかった。

 「いい勝負を演じていることに満足している段階ではないことを自覚しないと、同じ失敗を繰り返すし成長はできない。もしこの相手にこれだけやれたなどと思っている部分があれば、それは正していきたい」

 1月のアジア杯。柴崎は常にランニングの先頭を走っていた。開催国のUAEへ降り立った時点で、既に先頭を歩いていた。決して口数が多くなく、ゲキを飛ばすタイプではないからこそ、先頭に立つ背中にはチームを律する役割があることを理解しているようだった。そして、1つのボタンの掛け違いによる緩みや慢心で、チームが一気に転落する気配を感じ取っているようだった。

 アジア杯は武器だったはずの「対応力」のメッキがはがれ、決勝でカタールに完敗して優勝を逃した。柴崎の敗因分析は「ピッチ内外での積み重ねが、そういった甘さを招いてしまった」といったものだった。態度で示し、律しようとしていた柴崎が、ついにチームへ苦言を呈した。ある種の“最終手段”に近い意味を持つかもしれない。「日本代表が強くなるために、シビアに求めていかないといけない」と柴崎。本当の意味で強く、勝てるチームになるために、柴崎の言葉から目を背けてはならない。

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