【岩政大樹 オン・ザ・ピッチ】ベルギーがトップリーグの新たな玄関口に

スポーツ報知

 植田直通選手がベルギーリーグのセルクル・ブルージュに移籍しました。プロ6年目。23歳という年齢は、欧州に渡るにはギリギリといえます。

 私(36歳)の年代では、欧州に行くのはJリーグで結果を残してから、というのがスタンダードでした。日本で誰もが認めるそのポジションの第一人者になり、満を持して世界に挑戦する。野球など他のスポーツでもそうですが、それが常識でした。

 しかし、サッカーにおいては年齢が非常に厳しく判定されます。30歳が一つの境界線で、欧州のクラブは選手を売って買うことでクラブを回していくので、中堅以下のクラブは23歳くらいまでの選手にしか手を出そうとしません。25歳くらいまでには、より大きなクラブに移籍させることをもくろんでいるので、欧州の環境に適応していくための時間を考え、23歳でギリギリとみられるのが市場の原理なのです。

 こうなると、日本の選手が欧州でプレーし大きなクラブを目指していくなら、Jリーグで一時代を築く時間は許されなくなります。早くから出場機会を得た植田選手にしろ、日本で全てをやりきったという感覚には程遠いはずです。しかし、欧州はその時間を待ってくれません。

 そこに忸怩(じくじ)たる思いを抱えるのはサポーターやクラブだけでなく、選手本人も同様でしょう。それでも、二度と帰ってこない自分の人生に何を求めるかを自問した末の苦渋の決断であろう植田選手の新たな挑戦に注目です。

 活躍が伝えられている久保選手、森岡選手だけでなく豊川選手、冨安選手、さらにこの夏、関根選手もベルギーリーグに活躍の場を移しました。ベルギーはトップリーグへの新たな玄関口となるのか。また一つ注目のリーグが増えました。(東京ユナイテッド、元日本代表DF)

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