【札幌】ペトロヴィッチ監督、逆転でJ1通算174勝目 外国人監督J1最多

スポーツ報知
後半23分、白井(中央)が同点ゴールを決め、歓喜する札幌イレブン(カメラ・宮崎 亮太)

◆明治安田生命J1リーグ第23節 札幌3―2F東京(19日・札幌ドーム)

 北海道コンサドーレ札幌が2点差をひっくり返し、4試合ぶりの勝利を挙げた。ホーム・F東京戦は前半0―2とリードを許したが、後半8分にFW都倉賢(32)が、クラブのJ1ホーム通算150点目を決めて1点差に。同23分にMF白井康介(24)のJ1初得点で追いつくと、その4分後、MFチャナティップ(24)のゴールで逆転、3―2と競り勝った。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(60)はJ1通算174勝目となり、外国人監督ではJ1最多となる白星を劇的な形で手にした。

 札幌が『進化』を結果で示した。前半の2点差をはねのけ、記録づくめの中でつかんだ4試合ぶり勝利。外国人監督で最多となる174勝目を挙げた、主役の一人、ペトロヴィッチ監督は「どのチームが相手でも、得点できるアイデアがあるのが、今の札幌」と3位・F東京を撃破し、うなずいた。

 巧みなタクトがさえた。ハーフタイム。ペトロヴィッチ監督の大声が控室に響いた。「ひどい前半だ」。「球際も、走りも負けている」。闘志を奮い立たせるゲキとともに、戦い方も変えた。「相手のボランチをフリーにさせていた」とチャナティップと駒井をボランチに付かせ、自由を奪った。ボールを支配する場面が増え、逆転への礎が整っていった。

 そこからの3得点全てに、指揮官の教えが刻み込まれていた。後半8分、都倉が左クロスに頭から飛び込んだ1点目。アシストしたDF福森晃斗(25)は「ミシャ(ペトロヴィッチ監督の愛称)が(監督として)来て、攻撃の形が増えた。サイドチェンジからの速いクロスという、やってきたことが出た得点」と言った。昨季の攻撃の主はカウンターとセットプレー。そこにミックスされた形で、反撃への足がかりができた。

 後半27分、チャナティップの右ミドルでの決勝点も、個人の技量頼みではない。チャナティップは「ジェイとのワンツーでの得点は、あのタイミングじゃなきゃ入らないもの」と振り返った。至近距離のつなぎは、ペトロヴィッチ監督がこだわってきた「前線3人の距離感」が根底となった。福森は「以前はジェイに出したら任せる事が多かったが、1人が抜けたら1人がサポートを徹底してきたからこそ生まれた得点」と強調した。

 指揮官の教えが表れて、手にした勝利。順位は6位のままだが、ペトロヴィッチ監督は「試合を通して、狙いのサッカーをするには時間が必要。ただ、前半と後半の違いを選手が感じて学ぶことができれば、このチームはもっと成長できる」と口にした。目指す到達点への伸びしろは、まだまだある。(砂田 秀人)

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