【二宮寿朗の週刊文蹴】「引退」「復帰」表明しなくていい時代へ

スポーツ報知

 サッカー解説者で元日本代表の福西崇史が現役復帰を果たすという。「キャプテン翼」の作者・高橋陽一さんが後援会会長を務める東京都1部リーグの南葛SCに入団。公式戦デビューは、11月の関東社会人大会になりそうだとのこと。

 今でも30代前半に見えるルックスだが、彼も立派な中年。あす9月1日で42歳を迎える。クラブの公式サイトを通じ「近い将来、Jリーグの監督として指揮を執ることを目指している自分としては違うカテゴリーとはいえ、現場の空気を吸い、真剣勝負の場に身を置くことは大きなプラスになる」とコメントしており、指導者修業も兼ねてピッチに立つことを決断したようだ。これまでどおり解説などの仕事も続けていく。

 もはや「現役引退」は今の時代にそぐわないのかもしれない。50歳の中山雅史もJ3アスルクラロ沼津に所属する。“第一線”から退いたとしても、ほかの仕事をこなしつつ現役を続けることができる環境になってきた。

 競技は違うが、98年長野五輪でスキージャンプ団体ラージヒル、個人ラージヒルで金メダルを獲得した船木和喜は実業家、指導者の顔を持つ一方で、43歳の今なお現役選手である。彼は語っていた。

 「北欧でスキージャンプは特に生涯スポーツとの認識が強く、60歳、70歳のジャンパーが小さなジャンプ台で飛んでいます。僕は独立してやっていますから、誰かに肩を叩かれることもない。(引退を)誰にも決める権限はないし、もう一年と思いながらやってきていますが、別に引退しなくてもいいんじゃないかって。やっぱり距離を飛ぶと気持ちがいいんです。その気持ちは(競技を)始めたころとあまり変わらないし、今が一番楽しめているようにも思います」

 サッカーだって生涯を通じて楽しめるスポーツ。近い将来、現役引退も復帰も表明しなくていい時代が訪れるのかもしれない。(スポーツライター)

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