【鹿島】大ブーイングも動じず 韓国人GKクォン・スンテが好守連発で決勝進出に貢献

スポーツ報知
GK権(右)は相手サポーターから大ブーイングを受けながらも好守を連発。決勝進出に大きく貢献した

◆ACL ▽準決勝第2戦 水原三星3―3鹿島(24日・水原ワールドカップスタジアム)

 鹿島は水原三星と3―3で引き分け、2戦合計6―5で決勝進出を決めた。元韓国代表GK権純泰(クォン・スンテ、34)がビッグセーブを連発し、勝利に大きく貢献した。

■波紋を呼んだ「頭突き騒動」

 権は第1戦でレイトチャージを行った水原の選手に対し、頭突きをするそぶりを見せた。実際は相手に当たらず、「あれでチームに火がついた」(DF内田篤人)と0―2からの逆転劇を演出する1つのキッカケとなった。

■「裏切り者」心ない批判

 だがこの行動や、試合後の「韓国のチームには負けたくなかった」というコメントが切り取られ、母国から「裏切り者」と心ない批判を受けた。この日も権がボールを持つ度に大ブーイングが起こった。それでも「大きな試合ほど、小さなミスが勝敗を分ける」が信条。毅然とゴールマウスにそびえ立った。

■学びを怠らない34歳

 今季から就任した佐藤洋平GKコーチのもと、「攻めるGK論」を習得。「相手のシュートへの反応ではなく、自分から攻めてシュートコースをなくしていくという考え。今までの自分にはなかった概念」と、34歳にしてなお学び、成長を続ける。この日も3失点こそしたが、果敢にシュートモーションに入った相手選手に接近し、幾多のピンチを救った。

■「はい、ヒャクエンね」

 若手の居残りシュート練習に付き合い、「ありがとうございます!」と礼を言われた際には「はい、ヒャクエンね」と冗談で“バイト代”を要求する、ひょうきんな性格。だが時にミスした選手を50センチほどの距離からどなり、敗戦後にふてくされてサポーターへのあいさつをおざなりにした選手をしかりつける。外国人助っ人ながらベテランの1人として、全北現代(韓国)時代にACLを制した経験をチームに伝えている。

■クラブ悲願アジア制覇へ

 試合後。権は味方との抱擁や相手へのねぎらいを終えた後、勝利をかみ締めるようにうなずきながら、静かに拳を握った。大勢の韓国メディアが待ち構えていたこともあり、コメントを残すことはなかった。だがDF安西幸輝は「スンテが安心した顔をしていました。それが一番良かったです」と話した。決勝は11月3日と10日。イランの雄・ペルセポリスとの対戦。守護神の力なくして、悲願のアジア制覇は成し遂げられない。(岡島 智哉)

サッカー

×