【湘南】爆走初V“暴れん坊”平塚時代94年天皇杯以来タイトル…20歳杉岡決勝ミドル

スポーツ報知
初のタイトルを獲得しサポーターと一緒に喜びを爆発させる湘南イレブン(カメラ・池内 雅彦)

◆JリーグYBCルヴァン杯決勝 湘南1―0横浜M(27日、埼玉スタジアム)

 湘南が横浜Mとの「神奈川ダービー」となった決勝を1―0で制して初優勝を果たし、賞金1億5000万円を獲得した。前半36分に東京五輪世代のU―21日本代表MF杉岡大暉(20)が決めた先制点を守り抜いた。前身の平塚時代の1994年度天皇杯以来の国内3大タイトルを獲得。湘南としては初タイトルとなった。

 終了の笛が鳴ると、湘南イレブンはへたり込んだ。FW石川はベンチから駆け寄った仲間に手を差し出されて立ち上がった。チョウ監督は選手に抱きつかれた後、一人、地面に突っ伏して号泣した。MF金子は「疲れ切って、立てなくて」。全員が死力を尽くした。

 前半36分、こぼれ球をペナルティーアーク手前で拾ったMF杉岡が左足を一閃(いっせん)。「自分でもびっくり。思い切った」という強烈なシュートをゴール右上に突き刺した。20日のリーグ札幌戦でJ1初得点を決めたばかりの東京五輪世代の20歳が大一番でも力を発揮。「こんなにもうれしいものなんだ」。大会MVPにも選ばれた。

 今大会、杉岡はチーム16人目の得点者。10年覇者の磐田の14人を上回り、1大会での得点者数が過去の優勝チームの中で最多になった。エースも点取り屋もいない。誰かに頼らず、全員でつかんだ栄冠だった。

 若手の躍動がチームを勢いづけた。この日のスタメンの平均年齢は25・55歳で、横浜Mより約1・5歳も若い。球際は厳しく、最後の1秒まで走り抜くスタイルを強みにした。PK戦決着の準決勝第2戦(14日)では、重圧のかかる1人目を杉岡が務めるなど、勝負への責任感も植え付けた。指揮官は「挫折を繰り返しながらもはい上がる。それがクラブの財産」と振り返る。若い世代が底上げし、一戦ごとにたくましさを増した。

 今季からフィットネスクラブを運営するRIZAP(ライザップ)グループが経営参入。3年間で10億円以上の支援のほか、個別のトレーニング指導や栄養士による食事指導など同社のノウハウが注入された。

 東京五輪が行われる20年までにJ1、天皇杯、ルヴァン杯のいずれかのタイトル獲得を目標に掲げるが、クラブ創設50周年の節目の年に早くも“結果にコミット”。真壁潔会長(56)は「一番お金をかけたチームが勝つのは当たり前。若い選手を伸ばして勝つ、ウチのようなチームがJリーグの中でオンリーワンになる」と力説した。

 チョウ体制となった12年以降、6季だけで3度のJ1昇格、2度のJ2降格を経験。リーグ戦は5試合を残して自動降格圏17位の柏と勝ち点3差の13位。24年ぶりのタイトルは残留争いにも勢いがつくはずだ。(小又 風花)

 ◆94年度天皇杯決勝 Jリーグ参入1年目で古前田充監督率いる平塚(当時)は、95年のJ昇格が決まったばかりのC大阪(JFL)と対戦。後半2分と41分にFW野口が2得点。捻挫した左足首をテーピングで固め強行出場したエースが試合を決め、2―0で平塚が頂点に立った。前身のフジタ工業が優勝した79年度以来15年ぶり3度目の日本一。野口は5得点で得点王。

 ◆湘南ベルマーレ 1968年創立の藤和不動産サッカー部が前身。フジタ工業、フジタと改称し、Jリーグには94年から「ベルマーレ平塚」として加盟。同年度の天皇杯も制した。フジタの撤退を受け、2000年からは新運営会社のもとで湘南ベルマーレとして活動。本拠地はShonan BMW スタジアム平塚。愛称のベルマーレはラテン語の「美しい」と「海」を合わせた造語。

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