【山本昌邦チェック】湘南の優勝は積み重ねてきた「育成」の勝利

スポーツ報知
初優勝し喜ぶ湘南・チョウ監督(カメラ・池内 雅彦)

◆JリーグYBCルヴァン杯決勝 湘南1―0横浜M(27日、埼玉スタジアム)

 湘南が横浜Mとの「神奈川ダービー」となった決勝を1―0で制して初優勝を果たし、賞金1億5000万円を獲得した。前半36分に東京五輪世代のU―21日本代表MF杉岡大暉(20)が決めた先制点を守り抜いた。前身の平塚時代の1994年度天皇杯以来の国内3大タイトルを獲得。湘南としては初タイトルとなった。

 湘南の優勝は「育成型」の結実だ。傑出したタレントはいないが、選手を育てて力を最大限に引き出した。チョウ監督のスタイルが正しい道だと証明できた。

 リーグ戦での走行距離は1試合平均115・9キロでトップ。決して高いとは言えない技術を補うために必要なものだ。急にはうまくならないが、運動量はブレない。ボールを持った時に相手に的を絞りづらくさせる。序盤から飛ばし気味に入ったが、試合のテンポを上げて自らの土俵に持ち込み、横浜Mのエネルギーの余力を少なくした。後半26分から出場したMF松田が42分に交代させられた。もちろん全力でやっていたが、足りないように映ったのだろう。「できないことを求める」のではなく「やれるのにしない」ことが許されないチームということだ。

 横浜Mにペナルティーエリアの中へ入られていたが、シュートシーンでは間合いを空けず1人目がブロック、さらに2人目というシーンが見られた。個ではなく、グループで守るスキのない守備は素晴らしかった。育成に近道はない。積み重ねるしかない。現在はU―19アジア選手権に斉藤、石原を輩出している。2人を欠いても獲得したタイトルは、若いチームに自信を与える。(スポーツ報知評論家)

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