【宏太’Sチェック】ペトロヴィッチ監督が思い出させた「楽しむ」気持ち

スポーツ報知

◆明治安田生命J1リーグ第18節 名古屋1―2札幌(28日・パロ瑞穂)

 名古屋というやりにくい相手だったが、前半から主導権を握ることができた。相手が10人になった後半43分、ジョーにフリーで打たれたシュートをGK具聖潤がスーパーセーブしたシーンは反省すべきだが、具とDFとの意思疎通も取れているから、お見合いすることもない。皆が自分の役割を理解しているのが、今季の安定感につながっている。

 3位というACL出場が明確になる位置にきた。一番の要因は「選手がサッカーをし出した」ということに尽きる。プロというのは各チームでエースを張っていた人間の集まり。能力は疑いない集団でも、負けるのが怖いから守って守ってでは、自身の良さを出すことが最優先ではなくなってくる。それがペトロヴィッチ監督になり、リスクを冒しながらも攻めるスタイルを推し進めた。サッカーというのは遊びから始まったスポーツ。楽しむという本来あるべき姿を思い出させたことで、選手は自信を取り戻し、いいものを出そうという意識に変わっていった。

 僕は現役時代、札幌では岡田武史さん、G大阪では西野朗さんに、下がってボールを受けると怒られた。常にDFラインのギリギリで勝負しろと教わり、100%以上の力を試合で出せた。その後、大宮で前線での守備を徹底され、勉強にはなったが、FWとしての能力は研ぎ澄まされるというより、何でもできるようになったことで逆に丸くなっていった。例えミスしても自分の良さを出してカバーすればいい。ペトロヴィッチ監督が選手の本能を呼び起こしたことで、札幌は確実に変わった。(吉原宏太、1996~99年札幌FW)

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