【川崎】鬼木監督、連覇狙う今季は選手に敢えてプレッシャー「勝ち点が離れた時も優勝を意識しながら戦えた」

スポーツ報知
リーグ2連覇を果たし、ダルマに目を入れた川崎・鬼木監督

◆明治安田生命J1リーグ第32節 C大阪2―1川崎(10日、ヤンマースタジアム長居) 

 敗れはしたが、胸を張った。広島の敗戦で2戦を残し、連覇を達成した。鬼木達監督(44)は「優勝の仕方としては勝って、引き分けて、が良かったと思いますけど…。悠(小林)が言っていましたけど、1年間の積み重ね。悔しい思いはあるが、今日は喜びたいと思います。選手はしっかり戦ってくれた」と誇らしげに会見で話した。

 昨季最終節で逆転Vを果たし、王者として初めて迎えたシーズン。指揮官は選手の心に響く言葉を節目で必ず口にしてきた。

 シーズン前には「日本で一番魅力あるサッカーをしよう」、「独走で優勝しよう」、「連覇を目指せるのは自分たちだけ」と声をかけた。連敗で迎えた5月の柏戦では「シーズン終わって優勝した時に自分たちがこの試合で盛り返した、という試合にしよう」ことあるごとに「一番」「優勝」「連覇」という言葉で、昨季経験し、再び成功体験を味わいたいという選手たちの琴線に触れる言葉を投げかけた。「シーズン最初にマークされるというのも言いましたし、そこへの覚悟を持って戦ってくれと言いました。常々、優勝というものを頭に、勝ち点が離れた時も優勝を意識しながら戦えたというのがある」。首位に立った長崎戦(トラスタ)前には敢えて広島が敗れ、勝てば首位というのを伝え、チームのメンタルの強さを試し、乗り越えさせた。

 9月の森保ジャパン初陣で川崎はDF車屋、MF大島、FW小林の3人が日本代表に招集された。負傷で大島が不参加となったが、追加招集されたのは大島と同じボランチの守田だった。同時期にはルヴァン杯準々決勝の鹿島戦がホーム&アウェーで2試合予定されており、「チーム事情」で断ることもできたはずだが、鬼木監督はそれをしなかった。

 「代表とかに限らず次出てくる選手に期待がある。自分が(選手時代の)鹿島の時もそうだった。当時の鹿島は代表がいっぱいいて、そういう時こそチャンスだと思って狙っていた」。元ブラジル代表のジーコイズムが浸透し、常勝軍団となっている中、当時選手だった鬼木監督はなかなか出番に恵まれなかった。同じMFのポジションにはジーコ、サントス、ビスマルクやレオナルドのブラジル人に、日本代表にも名を連ねた本田泰人、増田忠俊、阿部敏之らタレントぞろいだった。代表で選手が抜けた時は、自身が試合に出るチャンスだった。当時の自身の経験があったからこそ、新たに出場機会をうかがう選手のメンタリティーに期待した。

 ルヴァン杯では鹿島に敗れたが、9月にはリーグ、札幌戦でJデビューとなった下部組織出身のMF田中が途中出場でゴール。チームの活性化につながった。現行の34試合1季制になった2005年以降の優勝チームで26人の起用は最多。メンバーを固定するのではなく、その時の流れにはあらがわず、いるメンバーで戦い、その活躍に期待した。

 この日出場したメンバーだけでなく、選手、スタッフ、スポンサー、サポーターなどみんなで勝ち取った連覇。来季も鬼木体制は続く。今季1勝も出来なかったACLでのリベンジも果たさねばならない。

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