「鹿島らしさ」は勝利に向かって必死になる姿勢…担当記者が見た

スポーツ報知

◆アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦 ペルセポリス0―0鹿島=2戦合計2―0=(10日・テヘラン)

 【テヘラン(イラン)10日=岡島智哉】鹿島がペルセポリス(イラン)を2戦合計2―0で下し、クラブ史上初のアジア制覇に輝いた。国内主要タイトル19冠を誇る常勝軍団は、節目の20個目の栄冠を悲願のアジアタイトルで飾った。日本勢は昨年のJ1浦和に続き、大会2連覇。大会MVPには全14試合に先発出場したエースFW鈴木優磨(22)が選ばれ、12月にアラブ首長国連邦(UAE)で開催されるクラブW杯の出場権も手にした。

 「鹿島らしい」「鹿島っぽい」という言葉をよく聞く。クラブ関係者や代理人からは決勝などの大舞台でしぶとく勝利した後に。広報や同僚の記者からは、無口な選手を取材した後に。16年、サッカーの現場を取材して、他クラブの名前を挙げて「○○っぽい」とはなかなか聞かないから、やはり共通理解を持って使われているのだろう。

 昨年12月、最終節の磐田戦前日に内田篤人と連絡を取った。勝てば優勝が決まる前節・柏戦で引き分け、最終戦に持ち越しとなっていた。「明日、優勝しても鹿島という名前で勝たせてもらったような気がする」。すでにドイツから鹿島復帰が決まっており、本心で優勝を願っていたが、鋭い目は本質を見抜いていた。

 鹿島だから勝てるわけではない。本当の意味で鹿島の選手にならないと勝てない。あれから1年。ACL決勝第2戦では、ピッチにいた選手は大きなクリアでプレーを切り、試合を壊した。複数人がシュートに飛び込み、地面のボールを頭から倒れて止めようとする選手もいた。不細工でもいいから勝利にしがみついていこうとする姿勢がそこにはあった。

 もともと「99・9999%無理」と言われたところから、Jリーグ加盟を果たしたクラブ。そこからV川崎(現東京V)、磐田、浦和と強大な戦力に食らいついていく姿勢でタイトルを獲得してきた。鹿島らしさは後付けの勝負強さではなく、無口な選手たちの姿でもなく、勝利に向かって必死になる姿勢だと再認識した。(担当歴16年、内田知宏)

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