【松本】原点「走るサッカー」で2度目J1昇格&初優勝!今季人件費は史上最高9億円

スポーツ報知

◆明治安田生命J2リーグ最終節 松本0―0徳島(17日・サンアル)

 松本、大分の来季J1昇格が決まった。首位の松本はホームで徳島と0―0のドロー。勝ち点1差で追う2位の大分が山形と1―1で引き分けたため、松本がJ2優勝と4年ぶり2度目のJ1昇格を決めた。J1昇格資格のない町田が4位となったため、5位の大宮と6位の東京Vが25日にJ1参入プレーオフ(PO)の1回戦で激突。勝者が3位の横浜Cと12月2日に同2回戦で対戦。同8日に決定戦(J1の16位が参加)が行われる。また、J1の17位以下が確定していた長崎はJ2降格が決まった。

 松本の田中はゴール裏のサポーターへ向かって走り出した。0―0で終了。悲願のJ1昇格&J2優勝を達成したことはわかっていた。「ここ2年間昇格することができなかった。ファン、サポーターのみなさんの顔が見たいと思った」。負傷のMFセルジーニョはベンチ外のMFパウリーニョにおぶわれてピッチに入ってきた。みんなが抱き合う中、田中は万歳でサポーターと喜びをシンクロさせた。

 「もう一回しっかりとサッカーの神様が顔を洗って出直して来いよ、と言ってる気がする」(反町監督)と屈辱のJ2降格となった15年11月7日の神戸戦(ノエスタ)から3年。15年のJ1昇格元年に旋風を巻き起こした「走るサッカー」から、16年は対極にあるポゼッションサッカーに変更。しかしJ1昇格POで敗退した。昨年は勝ち点2差でJ1昇格POにも進めず。2度“顔を洗って”やっと目指す舞台に戻ることができた。今は再び原点とも言える「走るサッカー」に戻り、この日も今季最高の1万9066人の力強い声援に後押しされた勝ち点1奪取だった。

 今季開幕前、GK守田、MF藤田らを獲得。水戸からFW前田大も復帰させ、選手などの人件費が史上最高の9億円となり、赤字想定となった。J1に戻るための積極姿勢だったが、開幕6戦で、4分け2敗で22チーム中20位。今季から主将に就任したDF橋内は「もしかしたら(松本史上)一番勝てないチームを率いることになるのかな」と焦った。それでも終わってみれば、シーズンの半分超の22戦無失点。泥臭く守り、どん底からはい上がった。

 試合後には指揮官が5回胴上げされ、スタンドからは「祝J2登頂 頂きをいただき」と横断幕が掲げられた。来季も反町体制は継続。地元出身の田中は「このチームの未来のために戦っていきたい」と話す。15年は1年で去ったJ1。次はしっかりと根を張るための挑戦が始まる。(恩田 諭)

 ◆松本山雅FC チーム名は1965年、当時の長野県国体選抜の選手が通っていた喫茶店「山雅(やまが)」に由来。ホームタウンは松本市、塩尻市、山形村、安曇野市、大町市、池田町、生坂村。2012年からJ2昇格。14年に2位で初のJ1昇格も15年は16位で降格。チームカラーは緑。ホームスタジアムはサンプロ アルウィン(入場可能数2万336人)。

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