【松本】反町監督は4度目J1昇格…PKキッカーのクセ、主審の判定傾向まで“鬼の分析”

スポーツ報知

◆明治安田生命J2リーグ最終節 松本0―0徳島(17日・サンアル)

 松本、大分の来季J1昇格が決まった。首位の松本はホームで徳島と0―0のドロー。勝ち点1差で追う2位の大分が山形と1―1で引き分けたため、松本がJ2優勝と4年ぶり2度目のJ1昇格を決めた。J1昇格資格のない町田が4位となったため、5位の大宮と6位の東京Vが25日にJ1参入プレーオフ(PO)の1回戦で激突。勝者が3位の横浜Cと12月2日に同2回戦で対戦。同8日に決定戦(J1の16位が参加)が行われる。また、J1の17位以下が確定していた長崎はJ2降格が決まった。

 反町監督が受け取ったJリーグ優勝杯(シャーレ)を両手で高々と大空へ掲げた。「感無量」と声をあげ、「最後にこうして頂に上ることができて本当にうれしい」。ピッチでは表情を緩めない7年目の指揮官の笑顔がはじけた。優勝でのJ1昇格は新潟時代の03年以来15年ぶり。サポーターの前で勝利を喜ぶ“ラインダンス”の「アルプス一万尺」も愉快に踊った。

 J1初挑戦の15年は16位降格。「本来であればそこで(松本の監督を)終了すべきかなと自問自答した」。だが、再びJ1へと戻すことが愛着のあるクラブへの責任の取り方だった。これまで相手の特徴はもちろん、試合中のPKキッカーのクセ、蹴る方向、主審の判定傾向まで事細かに分析した。スタジアム上空の風向きや、「記者が一番聞きたい話は2番目にしてくる」と、取材対応まで分析したこともあった。今季もスタッフとともに毎日、日付が変わるまで“鬼の分析”を行った。

 昇格を決めても、「試合終了の笛は次の試合開始の笛」という日本サッカーの父、故デットマール・クラマーさんの名言を使って、気を引き締めた。15年は「新参者」と表現したが、来季は違う。来季8年目となる名将は「一寸先は闇」と苦難をすでに思い描く。日本最高の「J1昇格請負人」は「J1定着請負人」となってみせる。

 ◆反町 康治(そりまち・やすはる)1964年3月8日、埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。54歳。清水東高から慶大を経て全日空に入社。横浜FでサラリーマンJリーガーとして活躍した。その後は平塚(現湘南)に移籍し、97年に現役を引退。日本代表では国際Aマッチ4試合に出場した。引退後は監督となり、01~05年に新潟、06~08年に北京五輪代表、09~11年に湘南を率いた。12年に松本の監督に就任し、今季が7年目。

 ◆反町監督のJ1昇格 反町監督がJ1昇格へ導いたのは今回が4度目。03年に新潟(J2優勝)、09年に湘南(同3位)、14年に松本(同2位)で達成。優勝しての昇格は新潟時代に次いで2度目で、同じチームでの2度目の昇格は松本が初。指揮官で4度J1に上げたのは最多で、J1昇格請負人となっている。

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