【東京V】ロスタイム残り1分で11年ぶりJ1に劇的王手

スポーツ報知
ドウグラス(左から2人目)が決勝ゴールを決め、喜ぶ上福元(右)と東京Vサポーター(カメラ・清水 武)

◆J1参入プレーオフ2回戦 横浜C0―1東京V(2日、ニッパツ三ツ沢)

 11年ぶりのJ1昇格を目指すJ2・6位の東京Vが、後半ロスタイムの劇的ゴールで同3位の横浜Cを1―0で下した。前線に上がっていたGK上福元直人(29)がCKを頭で合わせ、こぼれ球をFWドウグラス・ヴィエイラ(31)が押し込んだ。J1の16位・磐田との決定戦は8日にヤマハスタジアムで行われ、最後の1枠が決定する。横浜CのFW三浦知良(51)はベンチ入りも出番がなかった。

 J1への思いを乗せた右CKのボールを、パワープレーで前線に上がったGK上福元の頭が捉えた。7分と表示された後半ロスタイムの6分。「自分なりに駆け引きしたつもり」。フィールド選手経験のないGKがフリーになり、根性で放ったダイビングヘッド。強烈なシュートがGKの手をはじき、こぼれたボールをFWドウグラスが詰めた。緑に染まったゴール裏が熱狂の渦と化した。「サッカーをやっている以上ゴールはうらやましいものです(笑い)。自分のゴールにはならなかったけど、チームに貢献できて良かった」

 引き分けなら規定によりリーグ戦成績上位の横浜Cが勝ち上がる。策略家のロティーナ監督(61)はDF登録の李をFWで起用した。前半は猛烈なプレスを繰り返して相手を疲弊させ、後半に満を持してFWレアンドロとドウグラスを続けて投入。それでも1点が遠かったが、GKを前線に上げる力技で決勝点を奪い取った。

 育成組織の充実度はJ屈指。日本代表MF中島翔哉(24)、鹿島でACLを制した同MF三竿健斗(22)、DF安西幸輝(23)ら多くの原石を発掘し、鍛え上げてきた。あるJ1クラブの強化責任者は、東京Vの下部組織出身選手を「安心と信頼のヴェルディ産」と表現する。だが、どれだけ優秀な選手をそろえてもJ1復帰はかなわず、毎年のように選手が引き抜かれる“草刈り場”に。東京VからJ1へ移籍したある選手は「お金というより、やっぱりJ2よりJ1だという思いでみんな移籍しないといけなくなる」と明かした。

 そんな“負のサイクル”に歯止めをかける時が来た。次戦の相手は磐田。上福元は「この勝ちを無駄にしてはいけない。一体感を持って戦いたい」と力を込めた。J2で味わった10年間の苦しみをぶつけ、J1の扉を切り開く。(岡島 智哉)

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