【鹿島】「個」の能力差は当然も「チーム力」にも大きな差 クラブW杯担当記者の目

スポーツ報知

◆クラブW杯 ▽3位決定戦 リバープレート4―0鹿島(22日、UAE・アブダビ)

 南米王者は憎らしいほどにしたたかで、強かった。DF安西幸輝は私が見た限り、鹿島の選手の中で最も存在感を出していたように見えた。それでも口から絞り出した言葉は「サッカー人生の中で一番つらかったというか…。同じ人間が11対11でやってるのに、ここまで差があるとは」という受けたショックの大きさを物語るものだった。

 相手FWに縦パスが入ると、鹿島の4人のDFのうちの1人が鋭く寄せる。これはサッカー界の定石だ。しかし一時的に3人となった鹿島DFラインに、リバープレートの3人の選手が一気に飛び出してきた。ポストプレーが成功しそうだと判断すると、「今がチャンス」という感覚を全員が共有し、実行に移す。定石通りの守備の形を取ったはずの鹿島は、数的同数のピンチを作られてしまった。犬飼は「日本やACLではなかなか経験できないレベルだった」と振り返った。

 個々の能力に差があるのは当然のこと。世界屈指のメンバーが並ぶRマドリードはもちろん、新旧アルゼンチン代表を多くそろえるリーベルプレートも力のある選手が多くいた。

 一方で、チーム力に大きな開きがあったのも事実。3本のシュートをバーに当てた鹿島と4得点を挙げたリバープレートの差を「決定力の差」と表現するのは簡単。だが鹿島は攻守に連動した動きが見られず、戦術の引き出しも少なかった。個人能力の差を埋めるだけの組織力を持ち合わせていなかった。

 点数以上の実力差を痛感させられた準決勝・Rマドリード戦(1●3)に続く大敗。内田は「ここから先は、選手それぞれ次第。忘れちゃいけないよ」と語った。映像では感じることができない「世界」を体感した経験を生かさなければならない。16年大会で3勝して決勝に進出し、Rマドリードを相手に健闘したのはもう過去の話。北中米カリブ海王者に鮮やかに逆転勝ちし、欧州王者に鼻をへし折られ、南米王者にたたきのめされたこの貴重な経験を、来季以降につなげなければならない。(鹿島担当 岡島智哉)

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