【高校サッカー】劇的開幕戦、PK戦11人目のGK対決 那覇西・GK新垣が止めた!決めた!

スポーツ報知
開幕戦はPK戦に突入。駒大高GK宮崎のPKを止めて、喜ぶ那覇西GK新垣凱(カメラ・川口 浩)

◆全国高校サッカー選手権第1日 那覇西1(PK 10―9)1駒大高(30日、東京・駒沢陸上競技場)

 開会式と開幕カード1試合が行われ、那覇西(沖縄)が1―1で迎えた駒大高(東京B)とのPK戦を10―9で制し、2回戦に進んだ。高校から本格的にGKを始めた那覇西の新垣凱斗(2年)が最後のキックを決めた。31日に1回戦の残り15試合が行われ、決勝は来年1月14日に埼玉スタジアムで行われる。

 平成最後の選手権が、劇的な一戦で幕を開けた。1人ずつ失敗したPK戦は9―9までもつれ、キッカーは11人目のGK対決となった。駒大高GK宮崎のキックに、那覇西の新垣凱は右へ大きく跳んだ。ボールは中央に来たが、残っていた左足ではじき出した。1万3577人の大観衆が沸いた。拳を突き上げて喜びを爆発させた。

 「勘です。止めたら自分がヒーローだって思っていた。足が残っていた。正面に来ると思ったので、その足を上げて(球に)当てました」。セーブの直後、自身のキックは豪快に左隅へ決めた。勝負が決まると選手は一斉に客席の応援団の元へ走り出し、跳びはねて喜んだ。

 本格的にGKを始めたのは高校入学後。小禄中時代の3年間はGK、DF、MFを経験した。高校でGKに専念すると決めたのは、沖縄県選抜や国体のメンバーに選ばれ伸びしろを感じたから。93年度の第72回大会に出場した父・泰司(やすし)さんの後を追い、那覇西へ進学した。

 本職にして2年足らずと経験が浅いため、当初は専門的な練習に苦労した。練習量にも驚いた。週に1度、那覇市内で来季J2に昇格する琉球のGK積田景介(25)らが指導するスクールに参加。ドイツ代表GKノイアーやテルシュテーゲンの動画を見てイメージを膨らませた。「ポジショニング、飛び出しに課題がある」と、ロシアW杯日本代表GK中村航輔(23)=柏=のプレーも研究。この日も後半終了間際に相手のミドルシュートをはじき出し、ポストに当てて防いだ。

 選手権の代表校は県外の強豪に進学する“サッカー留学生”が多数在籍する学校が多い。だが那覇西は選手だけでなく監督、スタッフも沖縄県出身だ。「県の代表として、勝利を届けよう、頑張ろうと話している」と平安山(へんざん)良太監督(45)。同校にとっても県勢にとっても5年ぶりの初戦突破を果たし、新垣凱は「最高(成績、94年度第73回大会)のベスト8。そしてベスト4」と力強い。寒暖差にも負けず、沖縄旋風を巻き起こす。(小又 風花)

 ◆高校選手権のPK戦名勝負

 ▽最多 1987年(第65回大会)1月6日の準々決勝、室蘭大谷(北海道)―宇都宮学園(栃木)。0―0で突入し、先攻・宇都宮学園の15人目がGKに止められた。室蘭大谷は15人全員が決め15―14で準決勝に進出

 ▽初の決勝実施 2005年(第83回大会)1月10日の決勝、鹿児島実(鹿児島)―市船橋(千葉)は延長戦を終え0―0。00年度から導入された決勝でのPK戦が初めて行われ、鹿児島実が4―2で制した。12年度の第91回大会決勝も鵬翔(宮崎)が5―3で京都橘(京都)を下し宮崎県勢初優勝

 ▽地方大会の最多 10年(第89回大会)11月7日の福岡県大会決勝で九州国際大付と東福岡が1―1で突入。15人連続で成功し、16人目は共に失敗。先攻・東福岡の22人目が外すと、九州国際大付が決め21―20で勝利。のべ44人、30分も行われた

 ◆新垣 凱斗(あらかき・かいと)2001年5月26日、沖縄県那覇市生まれ。17歳。小学3年でサッカーを始め、GK以外の全ポジションを経験。小禄中では1年生でセンターバック、2年生でGK、3年生でMF(トップ下)としてプレーした。那覇西に入学し、GKを本職にする。フィールドプレーヤー出身の特徴を生かした足元の技術、キック力が持ち味。好きな食べ物はカレーとシチュー。175センチ、66キロ。家族は父、母、弟2人。

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