【名古屋】楢崎正剛の淡々とした姿の裏に熱い信念…元担当記者が「見た」

スポーツ報知
楢崎正剛

 名古屋は8日、元日本代表GK楢崎正剛(42)が現役引退すると発表した。楢崎の活躍を取材した本紙の担当記者が、その人柄や信念について「見た」で振り返った。

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 自分が目立つことを嫌う男だった。日本代表の守護神の座を長年争った、派手なビッグセーブの目立つGK川口能活氏に対し、ポジショニングの良さと卓越した先読み能力で、淡々とゴールを守る安定感が持ち味だった。長身のイケメンも一見すると地味な印象を持たれたが、内には熱い信念を秘めている。「どんなシュートでも、正面でキャッチするのが失点の危険性が一番低いでしょ」―。強いこだわりを教えてくれた。

 「フォア・ザ・チーム」の精神も人一倍強い。2009年7月。プロ15年目の33歳でJ史上初の100完封を達成した。当時、J1に在籍したことのある全26チームを完封した大記録だったが「常に、100%のパフォーマンスを発揮できるようにやっているだけ。チームの皆が喜んでくれてたのが一番良かった」と語った言葉に“らしさ”を感じた。

 練習には誰よりも早く来て最後まで居残った。Jクラブの分析以外にも、プレミアリーグなど欧州の試合を見て「世界最先端のGK像」について熱く語っていた。当時のドラガン・ストイコビッチ監督も「ナラは真のプロフェッショナル」と評し、DF吉田麻也らチームメートの信頼は絶大の主将だった。FW久保竜彦氏、FW鈴木隆行氏、MF中田英寿氏、DF故・松田直樹氏、DF宮本恒靖氏ら日本サッカーをけん引してきた1976~77年世代の最後の一人。09年には「自分のピークはまだ来ていない」と話していた。その後、ピークはあったのか。機会があれば、ぜひ聞いてみたい。(09年サッカー&名古屋担当・榎本 友一)

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