【磐田】大久保嘉人、J1通算200点へ「16得点取りたい」…単独インタビュー

スポーツ報知
左クロスを上げる大久保

 J1ジュビロ磐田FW大久保嘉人(36)がスポーツ報知の単独インタビューに応じた。昨年6月に加入したためチームの鹿児島キャンプは初参加だ。前人未到のJ1通算200ゴールまであと16得点。昨季はチームに順応しきれず3得点に終わったが、今季、達成できるのか。プロ19年目シーズン前に磐田への思いとサッカー観などを語った。(取材・構成、山田 豊)

 大久保は昨年6月、磐田加入。25日から初の鹿児島キャンプに参加している。

 「走るのできつい。でも九州は地元なのでいい」

 チームは16位、自身も3得点に終わった昨季をこう振り返った。

 「去年はピッチに入ってやられてしまう、勝てないと思う試合が多かった。磐田加入前はあまり映像をみたことがなく、印象はなかった。実際入ることになって得点力不足と聞いていたけど、その通り。前に行くとすぐシュートを撃ってしまう。確実さを求める僕からするとゴール前で焦って視野が狭まり、落ち着きがなかった。ゴール前で遊ぶような余裕を持ちたい。磐田は自信持ってやれば間違いなく勝てる」

 名波浩監督(46)には攻撃で自由にプレーしてほしいと言われている。

 「僕も自由にやると良さが出ると思う。例を挙げると僕は川崎時代から一度後ろまで下がっていた。その後、点を取りに走ってゴール前に行っていた。FW小林(悠)も僕が下がるから点を取れるようになった。磐田では途中で取られてカウンターを食らうことが多かったけれど同じ形をつくりたい」

 チームからは経験を伝授することも期待され、練習中チームメイトにサッカーを教えている場面が多く見られた。

 「自信を持ち、考えてやってほしい。なぜここにボールを引き出した、DFを引きつけてからスペースに出るなど理由と状況を考えてほしい。磐田はボールが来てから考え始めている。それでは危険なパスは出せないし、下げることしかできない」

 現在J1通算184得点。J1で200ゴールが迫っている。

 「(川崎時代の15年第2S11節名古屋戦で)150点取ったとき、誰も達成していない200得点を目標にした。チームは昨年より間違いなくよくなる。16得点取りたい」

 名波監督とはC大阪時代(06年)一緒にプレーした。当時24歳。ビジョンは一致している。

 「当時C大阪はうまい選手が多くて考えを共有していた。僕は名波さんと同じく攻めたいタイプ。向いている方向は同じ」

 MF中村俊輔(40)とは2010年南アフリカW杯日本代表以来の同僚になった。

 「俊(俊輔)さんとのイメージは同じ。パスが出てくる場所がわかるので、動き出せる。ただ俊さんと僕の2人だけで勝つのは厳しい。ミスしてもいいので周囲と1つの方向に向かうことが大事」

 期待の若手選手は昨季28試合出場のボランチだ。  「(MF上原)力也が良い。走れて、ボールタッチとパスがうまい。前に行って周囲のサポートが多くなればパスは出せる。川崎は(大島)遼太がうまかったけど、最初に見た印象は力也のほうが全然良い。今はまだプレーに自信がないようだけど、100パーセントの自信をつけたら代表もいける」

 今年で37歳。引退や残りのサッカー人生について考えることはあるのだろうか。

 「何も考えていない。将来ではなく、今やれるサッカーを追究している」

 プロ19年目。サッカー観に関して聞くと意外な回答が返ってきた。

 「特にないんですよね。僕はストライカーだけどパスも出すしDFもする。プロに入ってから全てをやることが目標だった。1つを突き詰めるのでなく、1試合のため集中できる選手になりたかった」

 磐田にはFW小川航基(21)、DF大南拓磨(21)ら東京五輪候補が在籍する。彼らに必要なことを聞いてみた。

 「アテネ五輪候補選手がJに多く出場していたので結果を出すことだけを考えた。逆に今は出ていないのでまずJ1出場が大事。自信もつく」

 取材中、自信という言葉が幾度となく繰り返された。その真意とは

 「自信は大事。自信がないからおどおどする。川崎時代の(高いパス技術が必要な)ボール回しは自信があるから出来た。自信があれば何でもできると思えた。一つの哲学」

 日本代表はアジア杯で決勝に進出。森保ジャパンには大きな可能性を感じている。

 「アジア杯を見るとサッカーが面白い。森保監督が就任して縦にボールが入るようになった。前はサイドに追いやられて取られるなど縦にボールが入ることは少なかった。今はボールを相手から取った瞬間、面白く可能性を感じる。今後は国内の試合だけでなくアウェーに行って世界レベルを学んでほしい」

 今季楽しみな試合を聞くと川崎戦を挙げた。昨年最終節(1●2)は残留争い中で「楽しみきれなかった」からだという。開幕へ向け、心を躍らせていた。

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