【甲府】新戦力〈５〉２８歳“苦労人”小柳、戦力外から「雑草魂」はい上がる

　２８歳の“苦労人”ＤＦ小柳達司（２８）＝前群馬＝は、早くもチームに溶け込んでいる。「すごくなじみやすいというか、よくいじってもらっているので。みんな優しいですね」と笑う。

　サッカーを通じ、何事にも動じない鋼の精神力を身につけた。推薦での進学はなく、全国高校選手権の出場もない。１６年にＪ２金沢入りしたのも、群馬（当時Ｊ２）を戦力外となり、日本プロサッカー選手会（ＪＰＦＡ）主催のトライアウトを経たものだった。

　昨季は金沢で出場機会に恵まれず、シーズン途中で古巣のＪ３群馬に期限付き移籍。様々な経験を重ねているだけに「（いつか）サッカーを辞めなくてはいけないという思いを（常に）持ちながらやってきた。試合に出られなくても腐らない、というのも長所だと思っています」と冷静に話す。

　サイドバックやボランチもこなせるが、本職はセンターバック。甲府でも３バックの一角などでの起用が予想される。「自分はうまいプレーヤーではないが、（泥臭く）戦うことを大事にしています」とアピールする。金沢では１６年のＪ２・Ｊ３入れ替え戦（対栃木）で得点するなど、実戦でも勝負強さを見せてきた。

　まだＪ１でのプレー経験がないだけに「甲府で（Ｊ１に）上がれれば一番ですし、個人的にももっとレベルアップしていきたい」と熱い思いを口にした。更なる努力を重ね、“雑草魂”で定位置をつかみ取る。（古川　浩司）

　◆小柳　達司（こやなぎ・たつし）１９９０年２月７日、千葉県生まれ。２８歳。専大松戸高―日体大を経て、２０１２年、Ｊ２草津（現群馬）に入団。１６年Ｊ２金沢へ移籍。１８年８月、Ｊ３群馬へ期限付き移籍。今季完全移籍で甲府に加入。Ｊ２通算１８７試合３得点。Ｊ３通算１５試合１得点。右利き。家族は妻と１女。１８０センチ、７６キロ。