【神戸】開幕敗戦 VIP42・5億円トリオも沈黙

スポーツ報知
C大阪に封じられた(左から)ビジャ、イニエスタ、ポドルスキ

◆明治安田生命J1リーグ 第1節 C大阪1-0神戸(22日・ヤンマー)

 明治安田生命J1リーグが22日、昨年に続いて2度目となる金曜開催で開幕した。神戸はオフに元スペイン代表FWダビド・ビジャ(37)を補強し、同代表MFアンドレス・イニエスタ(34)、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ(33)と3人の元世界王者が共演したが、後半32分にC大阪DF山下達也(31)に決勝点を許し、0―1で敗れた。ビジャは左サイドに張り続けてプレーし、シュート3本を放つも無得点。10年南アフリカW杯得点王のJデビュー戦を、神戸担当の種村亮記者が「読み解く」。

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 試合終了の笛にビジャは両膝に手をついてうなだれた。10年南アフリカW杯得点王のJデビュー戦はシュート3本の無得点。ただ、狙いは垣間見た。開始早々、左サイドに張り付き続ける姿に驚かされた。前半4分、サイドでボールを受けると華麗な動きで相手をかわしクロス。同17分には同じく左から中央にドリブルし、ペナルティーエリア前で右足を振り抜き自身最初のシュートを放った。

 「バルセロナでもスペイン代表でも、彼はあのスペースからプレーを始めて点を取っている」とリージョ監督(53)。目指していたのは「ポドルスキとの2人で5人の守備を引きつけること。攻撃のベクトルが中央に向かうと相手も中央に集まる。そこでチャンスを作っていたのは初瀬や西だ」と説明した。ビジャと右FWに位置するポドルスキがイニエスタとの連係でサイドから中央へと攻め上がることで、空いたスペースを初瀬、西の両サイドバックが突くという狙いがあった。

 そこまでは思惑通りだろう。だがサイドからどれだけ好機を作ってもゴール前での人数が足りていなかったように見えた。前半44分には、ビジャからのスルーパスを受けた初瀬がサイドを破ったが、中で待ち受ける選手はおらず、自ら放ったシュートもDFに阻まれた。ビジャとポドルスキがゴールから離れた位置に長くいたことで、フィニッシュでの迫力を欠いた。

 指揮官は「最後のところで決めきることができなかった」と決定力不足を嘆いたが、2列目からの飛び出しが増えなければ、このシステムを生かすことはできないはず。それ以上に、正確なシュート技術を持つストライカーが決定機を迎える形を作れなければ、その実力を最大限に発揮できないのではないか。

 J初陣を振り返ったビジャは「素晴らしい雰囲気の中でプレーできた。今の姿勢を信じていけば、必ず目標にたどり着くと思う」と手応えを口にした。その言葉通り、時間さえあれば問題は解決するのか。今後への不安がちらついた“VIPトリオ”の船出。背番号7のゴールを見たいのは、私だけじゃないはずだ。(種村 亮)

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 ◆神戸MFイニエスタ

 「今やっていることをやり続けて、どんどん改善していくこと。チャンスが訪れてもゴールが決まらないことはありますし、今やっているこの道を進んでいくしかないと思っている」

◆三木谷オーナー無言

 神戸の三木谷浩史オーナー(53)が開幕戦に来場し、“VIPトリオ”を擁しながら敗れた試合を最後まで見届けた。推定年俸はビジャ(4億円)、イニエスタ(32.5億円)、ポドルスキ(6億円)と計42.5億円という大金を投じた3人も無得点に終わり、試合後にはリージョ監督と話し込む場面も。待ち構えていた報道陣にはコメントせず、スタジアムを後にした。

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