【鹿島】「満男さんは背中で見せる。俺はまだできない」声で引っ張る内田篤人の主将像

スポーツ報知
後半、仲間を集め強い口調で話す内田(右)

◆明治安田生命J1リーグ第2節 川崎1―1鹿島(1日、等々力陸上競技場)

 今季から主将に就任したDF内田篤人(30)が公式戦初先発した鹿島は、3連覇を狙う川崎と1―1で引き分けた。川崎MF中村憲剛(38)のゴールで先制を許したが、内田のアシストからFW伊藤翔(30)が公式戦3戦連発となるゴールを沈めた。鹿島の象徴的存在だったMF小笠原満男氏(39)からキャプテンを引き継いだ内田が目指す主将像を、岡島智哉記者が「読み解く」

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 芸術的なロングフィードを、50メートル先で待つFW伊藤の左足に合わせた。0―1の前半21分、ハーフウェーライン線上。内田は伊藤が裏へ抜け出すのを確認し、迷わず蹴った。「しっかり隙は突かないとね」。貴重な同点弾を演出し「トラップもうまかったし、よく決めたよ。キックした人もうまかったけど」と笑った。

 開幕から2戦勝利なしにも「次につながる」と言い切った。今季から鹿島にとって5代目の主将に就任。昨季途中離脱を繰り返した経験からスロー調整を続けてきたが、満を持して踏んだ公式戦初ピッチで抜群の存在感を見せた。

 内田が描く主将像とは―。象徴的なシーンがいくつか見られた。裏を取られピンチを招いたDF犬飼を「悪くないぞ、次はしっかり」と拍手で鼓舞。自陣ゴールキックの際に、GK権に目配せして時間を使わせると、守備陣を集めて話し合いの場を持った。後半25分には決死のスライディングで決定機を防いだDF町田の頭をペチッとたたき、笑顔を向けた。内田は言う。

 「満男さんは背中で見せるタイプだったけど、正直、俺はまだそれができない。体が100%じゃないから。その中で、『できないくせに』と思われてもいいから、伝えていかないと。しゃべりが大事だなと思う」

 14年ブラジルW杯で自分の考えをチームに伝えることができず、主将を志すようになった。4年半後、ついにたどり着いた座。その間考え抜き、最も勝利に導くことができる主将像を表現する。町田は「結構強かった…」と頭を小突かれたシーンを振り返ったが「要所要所で試合の運び方を声がけしてくれた。やりやすかった」と感謝した。

 開幕2戦で勝ち点1。鹿島にとって許されない数字だ。それでも「優勝を狙うチームは、リーグ戦では連敗しちゃダメ。もちろん満足はできないけど、勝ち点1を拾えたことは大きい」と内田。新主将の「声」に導かれ、鹿島は頂点への道を歩む。(岡島 智哉)

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