【鹿島】安西のゴールで今季初勝利!内田も期待寄せる代表候補の超攻撃型SBを「読み解く」

スポーツ報知
後半13分、先制ゴールを決めた鹿島・安西(カメラ・清水 武)

◆明治安田生命J1リーグ第3節 鹿島1―0湘南(9日・カシマ)

 鹿島はDF安西幸輝(23)のゴールで湘南を1―0で下し、今季初勝利を挙げた。国際親善試合コロンビア戦(22日・日産ス)、ボリビア戦(26日・ノエスタ)への日本代表初招集へアピールした“超攻撃型サイドバック”のプレーを岡島智哉記者が「読み解く」。

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 FW顔負けの一撃が鹿島を今季初勝利に導いた。後半13分、MFレオシルバのクロスをDF安西がファーサイドで胸トラップ。「相手がスライディングするのが見えた」と一瞬の判断で鋭く切り返しフリーになると、右足でサイドネットへ豪快にズドン。「イメージ通り」と胸を張った。

■前、前、前

 左サイドバック(SB)の位置から積極的なドリブルを披露。前半終了間際の突破には思わず相手DFが体を投げ出し、2枚目のイエローカードで退場に。数的優位に立つと、果敢な仕掛けはさらに加速した。身体能力は平均的。スピードが飛び抜けて速いわけでもない。それでも意識は常に前、前、前。代表スタッフが見守る中、14日のメンバー発表前最後のリーグ戦で持ち味を存分に発揮した。

■内田「サイドバックじゃない」

 DF内田篤人の“安西評”は興味深い。同じSBの後輩を「あれはサイドバックじゃない」と表現する。中盤もサイドMFもFWをも追い越していく姿に苦笑いを浮かべるが、「うらやましい部分もあるよ」。昨年12月のクラブW杯でRマドリード(スペイン)など格上相手に臆せず突破を繰り返した23歳の将来に「いずれは日の丸を背負わなきゃいけない」と太鼓判を押す。

■アジア杯で鳴り潜めた長友の“攻”

 今年1月のアジア杯取材で驚いたことがある。DF長友佑都(32)=ガラタサライ=のプレースタイルの変化だ。守備意識が高くなり、かつての強気なオーバーラップが鳴りを潜めていた。向上した戦術理解力と守備力で、総合力は「差し引きゼロ」かもしれないが、多少の物足りなさも感じた。

■左SBは最大の不安要素

 その長友は左膝後十字じん帯損傷でリハビリ中。同じく左SBとしてアジア杯出場の広島DF佐々木は、この日のC大阪戦でセンターバックを務め、浦和DF山中も定位置をつかめず。6月の南米選手権に向け左SBは最大の不安要素だ。

■「チャンスだと思っている」

 W杯や欧州のトップクラブに目を向けると、現代サッカーのSBは「守備型+攻撃型」の組み合わせが主流。右のDF酒井宏樹(28)=マルセイユ=がこの上ない安定感を誇る分、左には爆発力が欲しいところ。安西は初の代表へ「常に意識している。チャンスだと思っている」と正直に語った。異質な超攻撃的サイドバックの代表デビューは、そう遠くない未来にやってくるはずだ。(岡島 智哉)

 ◆安西 幸輝(あんざい・こうき)

 ▽生まれとサイズ 埼玉・川口市生まれ。172センチ、64キロ

 ▽人生初のレギュラー争い 14年に東京Vのトップチーム昇格。1年目から41試合に出場し、4年間でリーグ戦150試合出場。18年の鹿島移籍で人生初のレギュラー争いを経験。リーグ戦28試合、ACL10試合に出場。

 ▽中島翔哉の“スパーリング相手” 東京Vユースの1年先輩と毎日のように2人で居残り練習相手に励み、1対1を延々と繰り返した。「あの人、自分が抜くまでやめないんですよ…」

 ▽Mr.ユーティリティー 両サイドバック、両サイドMFを高い水準でこなし、試合中の交代カードによりポジションが3度変わることも。東京Vではトップ下やボランチも経験

 ▽J1より前にACL 鹿島デビューはACL1次リーグ上海申花戦。J1デビュー前にACLのピッチを踏み「めちゃくちゃ緊張した…」

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