【宏太’Sチェック】ロペス個人技組織も機能…理想形

スポーツ報知
4点目のゴールを決めるロペス

◆J1第3節 札幌5―2清水(9日、札幌ドーム)

 アンデルソンロペスがキャンプで見せていた通りの活躍をしてくれた。彼はトラップもシュートもうまい上に卓越したスピードがあるから、相手より先にボールに触ることができる。その優位性を生かし、取られないという自信のある所にいち早く球を置けるから、思い通りのプレーができる。

 サッカーには絶対にかなわない聖域のようなものがある。僕がヘディングの強い選手とまともに競り合っても届かないが、一方でここなら絶対にボールを取られないという自分のポイントがあった。ロペスのような屈強な選手がそこに置けば、相手はほぼ奪えない。清水の守備力を差し引いても止められないと納得できた程、武器を生かしていた。

 武蔵の先制点も見事だった。あの場面で宮沢が1タッチした時、左からチャナティップ、武蔵、ロペス、ルーカスと4つの選択肢があった。その中で最もゴールに近い武蔵にスルーパスを出して得点となったが、それだけ多くのコースを作れていた。

 仮に武蔵とロペスしか出し所がなかったら、相手は余裕を持って守ることができる。しかし横パスやドリブルなども含めた4つも5つもの選択肢があれば、相手も絞れなくなり、あいまいな守備にならざるを得ない。そうなると武蔵のスピードがあれば抜け出せる。組織が機能してこそ個人が生きるというミシャの目指す形を体現した、素晴らしい得点だった。(吉原宏太、1996~99年札幌FW)

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