【仙台】シマオマテ初ゴールも神戸の「VIPトリオ」にやられた…痛恨逆転負け

スポーツ報知
後半開始前、円陣を組んで気合いを入れる仙台イレブン(カメラ・大好 敦)

◆明治安田生命J1リーグ第3節 仙台1―3神戸(10日・ユアスタ)

 11日で東日本大震災から8年がたつ。ベガルタ仙台は10日、「復興応援試合」として、1995年に阪神大震災を経験した神戸とホームで対戦し、1―3で敗れた。前半12分にMFシマオマテ(30)の初得点で先制するも、神戸FWビジャ(37)、MFイニエスタ(34)、FWポドルスキ(33)の「VIPトリオ」が躍動した神戸に力及ばなかった。開幕からリーグ戦3試合未勝利だが、被災地の希望の光になるべく、はい上がる。

 シマオマテが前半12分、DF永戸の右CKから頭で今季初ゴールを決めて先制したが、同32分にイニエスタに右サイドから絶妙なクロスを上げられ、FW古橋亨梧(24)に同点ゴールを許した。その後もワールドクラスの3人に翻弄(ほんろう)された。

 後半開始20秒だった。イニエスタからの完璧なパスが左サイドを駆け上がる古橋へつながり、クロスからビジャに決められた。一気に流れを持っていかれ、同19分にはイニエスタとポドルスキの連係からオウンゴールを誘発され、1―3と突き放された。決定機を何度も防いだ日本代表GKシュミットだったが、「最後自分が止められなかったから負けた」と自身を責めた。

 試合には敗れた。しかし、仙台躍進の鍵を握る新加入選手が、光明を示した。シマオマテは、ゴールを決めただけでなく、「VIPトリオ」と真っ向勝負でボールを奪い、正確なパスを前線へつなげた。松本から新加入し、リーグ戦初先発したMF石原崇兆(26)も左サイドからカットインするなどゴールに迫り、能力の高さを示した。

 横浜Mから期限付き移籍加入のMF吉尾海夏(20)は後半17分から右のシャドーで途中出場すると、高精度のラストパスを供給するなど戦況を一変させる武器を披露した。「チャンスは作れたけど、決めきらないといけない。(FWの選手たちとの)連係はもっと深まってくると思う」と手応えも口にした。

 東日本大震災から8年がたつ。仙台の選手は、復興のシンボルとして被災地の希望の光となる意思を持ち戦っている。リーグ戦の勝利はまだないが、シーズンは始まったばかり。初タイトルを獲得し、エンブレムの上に“希望の星”をつける挑戦は続く。渡辺晋監督(45)は「再度ひっくり返す展開を一番求められていたと思う。それができなかった」と悔しさをにじませながらも、「1年間かけて反骨心を持って戦い抜く姿を見せていきたい」と改めて決意を口にした。敗戦を糧に、はい上がる。(小林 泰斗)

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