【G大阪】39歳・遠藤保仁、J1最多出場の先にあるのは“親子共演”

スポーツ報知
遠藤保仁年表

 G大阪の元日本代表MF遠藤保仁(39)は今季、昨季限りで引退した元日本代表GK楢崎正剛氏(42)=元名古屋など=の持つJ1最多出場631試合の更新に挑む。日本代表戦のためリーグ戦が中断に入った第4節終了時点で通算606試合に出場している司令塔がスポーツ報知のインタビューに応じ、記録更新のかかった今シーズン、さらには究極の目標とも言えるJの舞台での“親子共演”への思いも語った。(取材・構成 金川誉)

 ―今季は開幕から4試合を終えて2勝2敗(9位)。どういったことを意識して、シーズンに?

 「去年のスタートが悪かった(開幕6戦で1分け5敗)ので、今年はクリアしたいと思ってやっています。チームにも課題はたくさんあるので、それをクリアするようなコミュニケーションやポジショニングをとっていきたい」

 ―J1最多出場631試合の記録がかかったシーズン。

 「全然意識しないですよ。いつ(レギュラーから)外されてもおかしくない年齢ですし、パフォーマンス次第では外される、そういう世界にいるので。『631試合、今年いけるやろう』と、みんな気軽に言いますけどね、いつどうなるか、分からない。常に目の前の試合を、という感じ。達成できたら非常にうれしいことなんですけど、今はチームが勝つこと、自分のパフォーマンスを良くしていこうと考えているだけ」

 ―39歳となったシーズンも、ここまでレギュラーとしてリーグ戦はすべて先発。どうやって肉体的な衰えと戦っている?

 「今、20歳ぐらいの時と比べたら、キレというか俊敏性は絶対に落ちている。ただ(他の人が)見えないところで動いたり、カバーしたりはなかなか(データでは)見えない。それはやっている人しか分からない。常にボールに関わるポジショニングはとっておかないといけない。頭の中でやっている部分なんで、外から見ると実際、分からないと思います。人より一歩先に移動しておけばいい。予測は人よりしているとは思いますね。体というより、頭の部分になっちゃいますね」

 ―頭の中は日々成長している?

 「年々引き出しが増えている部分もあると思います。ただ動体視力は落ちますし、情報は目から入ってくるものなので。よく首を振る(周りを見る)ことは必要になってくる。そういう部分でも細かい、人からみたら目に見えない仕事は増えていると思います。それはそれで楽しい部分なんですけどね」

 ―目はトレーニングを?

 「トレーニングまではいかないですね。常に視野に入ってくるものは、情報として入れるようにしています。何となく。練習の時は誰がどこで水を飲んでいるか、とか。すごく意識してやっているわけではないですけど。それが目のトレーニングになっているか分からないんですけど。それを何となく遊びながらやっているぐらいですね」

 ―J1最多出場は現実的な目標にみえるが、G大阪ジュニアユース所属の長男(※注)とJのピッチに立ちたいという思いは?

 「それは誰も成し遂げてないんでね。でも(自身も長男も)どっちもクリアしないといけない。僕もあと3、4、5年はやらないといけないので。そっちの方が、631試合よりはるかに難しいと思いますよ。それができたら、世界でも数えるぐらいしかいないと思うんで。できればそれはうれしいですね」

 【注】現在、中学1年でG大阪ジュニアユース所属の長男は、昨年将来の日本代表を養成するためのJFAエリートプログラムのメンバーに選出されるなど世代では注目のMF

 ◆取材後記

 遠藤は自らを高めるためのアプローチが、他の選手とはまったく違う。成長を求め、個人トレーナーをつけたり、最新鋭のトレーニングを取り入れたり、高い意識を持って取り組む選手は多い。しかし「僕はどちらかというと、性格的にそういうのが合っていないんで。がっつりやっちゃうと、飽きてしまいそうなんで。なんとなく、楽しみながらできることを」と笑う。

 今回のインタビューで明かした目のトレーニングもそうだ。特に専門家に頼るわけではなく、一方でその意識は日常生活にも及んでいる。「スーパーとか行ったら一番見ちゃいますね。他の人の動きとか、どこのレジが空いているな、とか。スーパーにも流れがあるんで。あの人は最後のデザートのコーナーから次にレジにいくかな。じゃあ、先に行っとこうとか」。そんなことを考えているサッカー選手を他には聞いたことがない。

 日常生活もサッカーに置き換え、次に起こる予測を絶えず続ける。この継続が、いまだにピッチ上で他の人が見えない試合の流れを読んだプレーにつながるのか。これが肉体的な衰えはあっても、39歳の今季もJ1のピッチに立ち続けている理由だと感じた。

(G大阪担当・金川誉)

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