【二宮寿朗の週刊文蹴】大迫は悔しがる気持ちが「半端ないって」

スポーツ報知
大迫

 今年の新語・流行語大賞に「(大迫)半端ないって」が堂々、トップテン入りを果たした。

 もともと全国高校サッカー選手権で大迫勇也の高校生離れしたプレーに対戦相手の主将が悔し泣きしながらたたえたことがきっかけ。サッカーファンに定着していた言葉ではあるものの、大迫がロシアW杯初戦のコロンビア戦で決勝ゴールを挙げて大活躍したことによって、一気に沸騰したわけである。ちなみにウチの小6の息子から「学校じゃみんな“大迫パない”と略しているよ」と教わったが、オジさん世代までどうも広がっていない。

 半端ない。その意味は「ものすごい」が最も近いだろうか。屈強な外国人相手とのフィジカル勝負に負けないプレーも半端ないのだが、大迫の姿勢そのものがとにかく半端ない。

 悔しい経験があると彼は人の何倍も何十倍もトコトン悔しがる。前回の14年ブラジルW杯がまさにそうだった。初戦のコートジボワール戦、2戦目のギリシャ戦に先発起用されながらゴールを奪えず、チームも1次リーグ敗退に終わった。彼は厳しい表情のままグッと唇をかんでいた。「悔しさしか残っていないというか、自分のふがいなさというか…。ただ、このままじゃ終われないし、これで終わっていたらダメだから」

 チームメートによればブラジルから移動する飛行機の中でも大迫は「悔しい」を連発していたという。時間がたてば悔しい気持ちは次第に薄まってしまうもの。しかしむしろそのレベルは引き上がっていた。ブラジルW杯から1年後にインタビューした際「マジでリベンジがしたい。あのときは力が足りなかった。今、一歩でも半歩でも進んでいると信じている」と言葉に力をこめていた。

 ロシアの地で見事リベンジを果たしながらも、ベルギー戦の逆転負けが心に火をつけている。悔しい気持ちが半端ないって!(スポーツライター)

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