イビチャ・オシム氏「素晴らしい試合だった、日本はもっとできる」世代交代の必要性も

2018年7月4日10時0分  スポーツ報知
  • 試合開始前、君が代を歌う日本代表イレブン(カメラ・酒井 悠一)
  • 後半ロスタイム、カウンターからベルギーに決勝点を奪われ、ぼう然とする(左から)昌子、川島、長友、山口、乾、吉田、長谷部(カメラ・酒井 悠一)

 ◆W杯ロシア大会▽決勝トーナメント1回戦 ベルギー3―2日本(2日・ロストフナドヌー)

 FIFAランク61位の日本は決勝トーナメント(T)1回戦で同3位のベルギーに2―3で逆転負けし、初の準々決勝進出を逃した。2点を先制するもベルギーの猛攻に耐えきれず、後半ロスタイムに決勝点を奪われた。元日本代表監督のイビチャ・オシム氏(77)がスポーツ報知にロシアW杯特別評論を寄稿。西野ジャパンの戦いぶりを称賛し、世代交代の必要性を説いた。

 素晴らしい試合だった。確かに結果は負けだが、日本はこの試合を通じて、そして大会を通して、自分たちが勝てると再び信じられるようになった。本当に素晴らしいパフォーマンスだった。

 懸念された守備は思っていたよりもずっと良かった。幾つかのミスはあったがしっかりと再編成され、そう破綻することはなかった。ベルギーがフェライニを投入し、ロングボール攻撃を仕掛けたのにもよく対応していた。ルカクに対してもコレクティブ(組織的)に守れていたのは評価に値する。

 ベルギーの決勝点は素早かった。クルトワが瞬時に状況を判断し、デブルイネはひとりでボールをピッチのはじからはじまで運んだ。確かに走るスピードは彼の長所のひとつだが、彼を行かせてはならなかった。

 こうした試合の終わり方はあまり気持ちのいいものではない。衝撃が大きく、それを消化するのは容易でないからだ。突然の心臓発作のようなものだ。

 日本に求められたのは危険を察知する嗅覚の鋭さだった。延長を視野に入れていたとはいえ、最後のワンプレーに対してもっと敏感になるべきだった。

 とはいえ日本は難しい状況をよく戦ったと思う。2対0から2対2に追いつかれ、それでもプレーを続けねばならなかったのだから。

 追いつかれたのは、足りないものもまだあるということだ。それらは小さな事柄であるのだが、日本がまだ多くを学ばねばならないのもまた確かだ。愚かなミスを犯す可能性は常にある。しかしそうしたミスとも共に生きねばならない。もちろん二度と犯すことのないよう修正していく必要はあるが、最悪だとばかり言って後悔しても仕方がない。

 客観的な視点に立てば見るに値する試合で、素晴らしい試合が見られたという喜びが最後に残った。日本はフィジカル面でも悪くはなかった。とても重要なことで、ここまでやってきたことに間違いはなかったと確信を持っていい。

 何が良くてどこを目指すのか。それをハッキリと意識して歩みを進める。より遠くまでだ。それには勇気がいるし、プレーのクオリティーも必要だが、今日、日本が示したのはもっとできるということだった。

 日本代表はこれから変わっていくべきだ。このチームは長い間、同じ選手たちがプレーしている。ベテラン選手はさまざまな経験を経て多くのことを身に付けている。代表での経歴も長く、彼らが日本の質を高めたといえる。だが、それももう終わろうとしている。幾人かは新たにスタートを切るのは難しい。新しい選手がどのぐらい入ってくるのか注目していかねばならない。彼らがこれからの代表を支えていくのだから。

 チームを完成させるには少し補強が必要だ。(長友に代わる)左サイドバックや屈強なストッパーが必要だし、よりクリエイティブ(創造的)なミッドフィールダーも、機動力に富みアグレッシブ(攻撃的)で得点能力の高いフォワードも。

 これからのサッカーはさらにスピードアップしていく。選手のスピードもプレーのスピードもだ。それにはさらなるフィジカルの強化が不可欠だ。フィジカルに問題のある選手は、これからはプレーをしていけない。

 変わらないのがテクニックの分野だ。多くの選手は自分が優れたテクニックを持っていると思い込んでいる。しかしプレーのスピードがアップすれば決して十分ではない。さらに技術は向上できるし、それには若年層からもっと練習を積んでいく必要がある。

 これからの他の国のことばかりを考えるべきではない。自分たちのことをもっと考えて、正しいと思える道を歩んでほしい。(元日本代表監督)

オシム
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