【ウィンブルドン】錦織、「4回戦の壁」ぶち破った1本のリターン 次は4強かけジョコビッチと

スポーツ報知

◆テニス ウィンブルドン選手権第7日 ▽男子シングルス4回戦 錦織圭3(4―6、7―6、7―6、6―1)1エルネスツ・ガルビス(9日、英ロンドン)

 男子シングルス第24シードの錦織圭(28)=日清食品=が、予選から勝ち上がった元世界ランク10位のエルネスツ・ガルビス(29)=ラトビア=に逆転勝ち。10度目の出場で初めての準々決勝に進んだ。日本男子では1995年の松岡修造以来で、4大大会全てで8強入りしたのは伊達公子以来となった。

 過去2度はね返された4回戦の壁を、1本のリターンを突破口にしてぶち破った。第2セットのタイブレイク、1―1。第2サーブに対して思い切り内に踏み込み、跳びはねながらバックハンドのストレートをたたき込んだ。ガルビスは体勢を崩され返すのが精いっぱいで、甘くなった返球をフォアで強振。返ってきたロブをフォアで沈めた。この日初めてみせた弾むようなフットワークに、力強いガッツポーズ。明らかに流れが変わった。

 「守っていてもリターンで苦労していたので、タイブレイクから前に入って打ってみたり、ちょっと攻めようと思った。あのリターンのお陰で攻める自信がついて、自分のしたいテニスを取り戻せたと思う」

 第1セットは右肘から上腕にかけてテーピングを施しプレーし、ガルビスの速く強いサーブから2ポイントしか奪えず失った。このセットの最速サーブは206キロ。3回戦で対戦したキリオス(オーストラリア)の最速216キロより10キロ遅かったが受ける感覚はまるで違った。

 「キリオスよりも速く感じた。特有の打ち方で、ジュースサイドであれだけワイドにフラットで打ってくる選手は少ないし、反対(アドバンテージサイド)のワイドも、シュート回転みたいな違った打ち方だった。むちゃくちゃ苦労した。第2セットくらいまで全く読めなかった」

 第2セット開始前にメディカルタイムアウトをとり、右肘内側のマッサージをうけ、テーピングは外した。レシーブで線審に当たりそうなほど下がってみたり、威力の落ちない第2サーブを、第1サーブと同じくらい深く構えて待ってみたりと工夫をこらしたが、なかなかリターンが入らない。第8ゲームでようやくガルビスのサービスゲームで2回ポイントを取ることに成功したが、ブレイクチャンスを作るまでには至らなかった。

 耐え、我慢してつかんだ1つのきっかけで、セットを1つ奪い返した。動揺を与えるのには十分で、第3セットは第1ゲームからブレイクチャンスを作った。第3セットのタイブレイク途中で左膝を負傷し力尽きたガルビスは「第2セットの途中から色々と変えてきて、圭は勝つ方法を見つけたようだった」と敗色濃厚なのを悟っていた。

 10度目の出場、3度目の4回戦でやっと越えた8強の壁の先には、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)という「大きい壁」が待っている。今年5月にマドリード・オープン、イタリア国際と連敗したのを含めて現在12連敗中。芝では初めて対戦する。「彼が芝でどんなプレーをしてくるのか分からない。新たな試合になる。彼とプレーするのは楽しいし大きなチャレンジ」。日本男子では1933年の佐藤次郎以来、85年ぶりの4強へ挑む。

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