関東学生アメフト連盟、沈黙の日大・田中英寿理事長に怒り

スポーツ報知
日大は秋のリーグ戦に出られないことを発表 日大アメフト部処分解除を巡り会見する(左から)関東学生アメリカンフットボール連盟の森本啓司専務理事、柿澤優二理事長と検証委員会の川原貴委員長、寺田昌弘委員

 関東学生アメリカンフットボール連盟は31日、都内で理事会を開き、悪質タックル問題をおこした日大の公式試合出場資格停止処分を解除しないと決めた。処分は2018年度シーズン終了まで継続され、秋のリーグ戦(8月31日開幕)には出場できないことが決まった。

 関東学連の怒りはアメフト部を越えて、沈黙を守り続ける日大・田中英寿理事長に向いていた。

 「例えば、日大の理事長が今回の事件の真摯な反省と共に、『保健体育審議会を含め競技部を統括する組織の改革をトップダウンで進めていく』、『同じような事件を二度と起こさないためにも、組織改革は必ずやり遂げる』等のメッセージを言明していれば、それは日大内部に対する強力なメッセージにもなり、対戦相手や社会が受ける印象はだいぶ違ったものになったであろう。(中略)安心感をもたらす『確かなもの』が形になっていたら、結論は異なっていたかもしれない」(検証委員会の答申書より)

 「大人たちがしっかりやっていれば、と思う。そのツケを学生たちに回すことになった。検証委員も学連も断腸の思い」(検証委員会・寺田昌弘委員)

 「解決に向かってフットボール部だけにその任務を押しつけた形になった、日大のガバナンスには少なからず憤りを覚える」(柿沢優二理事長)

 関東学連は日大が処分解除を求めて7月17日に提出した改善報告書に対し、検証委員会で精査してきた。その答申は「チーム改革を進めようとしていることは評価できる。しかしながら、一競技部を超えて日大全体で取り組まなければ実効性を伴わない施策については、その策定も実施もいまだ不確定・不十分であると言わざるを得ず、本日現在までに十分な改善がなされたとは認められない」。提示された改善策には一定の評価を与えたが、誰が、どうやって、実現していくのかが見えなかった以上、「個人のかわいそうな気持ちとかではなく、客観的な判断」(寺田委員)で、処分継続するしかなかった。

 日大は前日に第三者委員会の最終報告を発表。反則を指示したと認定された内田正人前監督、井上奨元コーチは懲戒解雇された。しかし、タックルを行った部員に対して「(同意すれば)一生面倒をみる。そうでなかった時は日大が総力を挙げて潰しにいく」と、脅迫まがいの口封じをしていた元理事の井ノ口忠男氏ほか大学関係者は既に辞任、辞職。検証委員会は「大学から懲戒処分を受けたわけではないので、前監督と同様に影響力は排除されたと考えて良いのか、判断に迷うところである」とした。さらに第三者委員会は改善報告書の作成・再発防止策の策定に全く関与していなかったことも露呈。「意外であり残念。連携や協議をしておけば、より充実した内容になったであろう」と指摘した。

 1つのプレーに端を発した問題は、もはや部だけで解決できる状況ではなくなっている。森本啓司専務理事は「田中理事長の進退はお答えする立場にないが、今後の日大のあり方にキーになる方だと思う。今回の結果をうけた中でその動きは我々も注視していきたい」と話した。第三者委員会からも危機対応の不適切さを認定され、説明責任を果たすように勧告された田中理事長。今後の対応が注目される。

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