桃田、リミッター解除!銀メダリスト撃破

スポーツ報知

◆ジャカルタ・アジア大会(19日)

 バドミントンの男子団体1回戦が行われ、第3シードの日本はマレーシアに3―0で快勝し、準々決勝進出を決めた。第1シングルスで今年の世界選手権金メダリスト・桃田賢斗(23)=NTT東日本=が、同大会銅メダルのリュー・ダレン(31)に21―13、21―14で完勝し、流れを作った。日本は男女ともに、次戦は20日の準々決勝。男子は2014年仁川アジア大会優勝の韓国と対戦し、今大会初戦を迎える第1シードの女子はインドと当たる。

 攻めても守っても、桃田は強かった。目の肥えた地元ファンが、世界王者の一打一打に息をのみ、どっと歓声を上げる。「(観客が)沸いてくれると気持ちも乗る」。リューの決定打は体を投げ出して拾い、チャンスは容赦なく仕留めた。世界選手権の準決勝(今月4日)で下した相手に、雪辱の糸口さえつかませなかった。

 世界選手権では腹筋を痛め、スマッシュを控えて堅守を武器に初優勝にたどり着いた。今回は違う。「ベースが守備なのは変わらない。その中で(攻撃的なショットも)増えてくる」。リミッターを外した本来の姿で圧倒した。勢いのまま、チームもマレーシアを3―0で圧倒。第2シングルスで勝った西本拳太(23)=トナミ運輸=は、「(桃田に)置いていかれないように、合宿などでいい質で練習できている。皆が表彰台に立てるように努力している」と明かす。自分が強いのは当たり前。代表全体に好影響を及ぼすすごみが、今の桃田にはある。

 繊細な調整も光った。今大会の会場は、空調がシャトルに与える影響が大きいとされ、風の対応も鍵となる。桃田はシャトルが飛びやすかった第1ゲームにアタックを多用。コートが逆になって飛びづらい第2ゲームは、ラリーで前後に揺さぶり、相手のアウトを誘った。風に合わせて変幻自在。「風上、風下でプレースタイルを考えてやれた」。同会場で行われた7月のインドネシア・オープン優勝の経験を生かし、適応力の高さも示した。朴柱奉監督(53)は、「まぁ、桃田は勝ちますから」。日頃は厳しい指揮官の笑顔に、全幅の信頼がにじんでいる。

 準々決勝では、世界ランク5位の孫完虎(30)を擁する前回大会王者の韓国と対戦する。「4年に1度の舞台(アジア大会)に立てることに、感謝の気持ちがある」。団体戦でも、日の丸を背負うのに恥じない全力を、出し続けるだけだ。(細野 友司)

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