錦織、東京五輪の酷暑警戒「お客さんが死んじゃうんじゃないかと思って心配」

スポーツ報知

◆テニス 全米オープン第2日(28日、米ニューヨーク)▽男子シングルス1回戦 錦織圭(日清食品)3(6―2、6―2、6―3)0M・マルテラー(ドイツ)

 【ニューヨーク28日=大和田佳世】男子シングルス世界ランク19位で第20シードの錦織圭(28)=日清食品=が初戦を突破した。同50位のマクシミリアン・マルテラー(23)=ドイツ=を一蹴。暑さで棄権者が相次ぐ事態に、同じく酷暑が予想される東京五輪に警鐘を鳴らした。

 錦織が2年ぶりの全米で力強いスタートを切った。第1セット第1ゲーム、4度目のチャンスでブレイクに成功すると、4ゲーム連取で一気に主導権を握った。伸びのあるフォアハンドに、鋭いコースで突き刺さるバックハンド。全仏16強の新鋭を振り回し、翻弄した。「久しぶりに感覚が戻ってきて振り切って打てていた。初めから自分がしたいプレーができた。ほぼ完璧」。暑さの残る夜のコートで、14年準優勝の肩書にふさわしい試合ぶりをみせた。

 この日は日中35度を超す猛暑に加えて湿度も高く高温注意報が発令され、異例の「エクストリーム・ヒート・ポリシー(酷暑対策)」実施が決定された。日陰を選び座る観客も汗が噴き出るほどで、男子で棄権した6人のうち5人が熱中症やけいれんを訴えた。熱中症で棄権したL・メイヤー(アルゼンチン)は「コート上で死ぬのはごめんだ。誰かが死なないと5セットマッチはなくならない」とバッサリ。N・ジョコビッチ(セルビア)は10分間の休憩中に対戦相手と隣のアイスバスで体を冷やし「1分弱だったけれど、とてもリフレッシュできた」と新ルールを歓迎した。

 錦織は日が陰った午後7時頃からの試合開始に「ラッキーだった」。1時間42分の完勝劇で体力消耗も避けられた。ただ、同じように蒸し暑さが予想される20年東京五輪について「楽しみに来ているお客さんが死んじゃうんじゃないかと思って心配。怖い。ずっと外で休みがないマラソンとかどうなるかなと思う」と懸念を示した。

 次戦は元6位のガエル・モンフィス(31)=フランス=と激突する。過去3勝1敗とリードはしているが2回戦にしては「正直、(対戦が)早いな」と本音が漏れた。ショット感覚やリターンの鋭さは戻りつつある。「長いラリーを好む選手なので、いつもとは違うプレーで攻略したい」。そう話す口調には、大会前にはなかった自信がにじんだ。

 ◆エクストリーム・ヒート・ポリシー 主催の全米協会が28日午後、男子の第3セット終了後に10分間の休憩を設けることを急きょ決定。〈1〉選手は必ずスタッフ同伴〈2〉コーチングは受けられない〈3〉どこで休んでもいいが、再開時刻までにコートへ戻る〈4〉休憩中にオフコートで治療を受けられない、の条件がついている。全豪でも同名称のルールがあり、気温、湿度など一定条件を超えると試合中断などの措置がとられる。女子はツアールールで第2セット終了後に10分の休憩がある。

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