【全米テニス】錦織、準決勝で対戦のジョコビッチは相性最悪だが「忘れてた」

スポーツ報知

◆テニス 全米オープン第10日(5日、米ニューヨーク) ▽男子シングルス準々決勝錦織圭(日清食品)3(2―6、6―4、7―6、4―6、6―4)2M・チリッチ(クロアチア)

 男子シングルス準々決勝で、第21シードで世界ランク19位の錦織圭(28)=日清食品=は、14年大会決勝で敗れた第7シードで同7位のマリン・チリッチ(29)=クロアチア=に雪辱の勝利。準決勝(日本時間8日)では過去2勝14敗の天敵で同6位のノバク・ジョコビッチ(31)=セルビア=に挑む。

 錦織はリターンエースで4時間8分の激闘を締めくくった。最終セット5―4の第10ゲーム、リターンで攻めて得たマッチポイント。チリッチが時間制限の25秒ギリギリまで迷って打ったサーブにドンピシャのタイミングで踏み込み、フォアハンドのクロスがセンターコートに落ちた。「最後のゲームはリターンのことだけ考えてた。とてもいい終わり方だった」。4年越しのリベンジに両手を突き上げ、子供のような笑顔で喜びを表現した。

 序盤は相手のサーブに対してリターンがハマらず、ラリーでは球威に押されてミスが出た。第1セットで相手のサーブから奪ったポイントはわずか3。「頭で分かっていたけど行動に移せない。2セット目の途中まで、本当にこの前と一緒の展開だと思った」。日本人で初めて4大大会シングルス決勝に進んだ14年のストレート負けがちらついた。

 ただ、簡単には終わらなかった。「吹っ切れた」という第2セット2―4、第7ゲームをラブゲームでブレイクし、一気に自信を取り戻した。陣営席のダンテ・ボッティーニ・コーチは「ワイドサーブを完璧にリターンしてポイントが取れ、ケイが『カモン!』と叫んだ。自由にラケットが振れるようになった」と勝利への道筋を確信した。現地でテレビ解説した95年ウィンブルドン8強の松岡修造氏も「彼らは次元が違う。狙っているのは一つ。優勝しかない」とうなった。

 女子シングルス準々決勝では大坂なおみも勝利。日本勢初の四大大会アベック4強となった。この快挙に国内も大盛り上がり。大会を独占中継するWOWOWには、加入希望の問い合わせが殺到している。ただ、電話での対応には限りがあるため、同社ではウェブからの申し込みを推奨している。

 錦織は準決勝進出で92万5000ドル(約1億292万円)以上の賞金が確定し、史上19人目の生涯獲得賞金2000万ドル(約22億2540万円)突破。世界ランクも12位以上に浮上する。昨夏の右手首故障から今年1月に復帰した時には痛みが残り、想像もできなかった成果が相性のいい舞台で出ている。「今大会で初めてこんなに競った試合だった。ああいう出だしから戻ってこられたのは自信になる」。

 準決勝では過去2勝14敗と相性最悪のジョコビッチと激突する。最後に勝利したのは14年大会準決勝で現在13連敗中だ。当時のことを聞かれたが「忘れてた(笑い)」と相変わらずの天然ぶり。「アグレッシブに、ポジティブに」。常に自分に言い聞かせて最強の敵に立ち向かう。

 ◆全米での錦織のチリッチ戦

 ▽2010年2回戦(3〇2) 序盤は強烈なサーブに苦しんだが、第2、第4セットのタイブレイクを奪うと最終セットは動きの鈍くなった相手を圧倒。気温40度近い酷暑と疲労で、左足付け根と右腕にけいれんを起こしながらも4時間59分の熱戦を制す

 ▽12年3回戦(1●3) 200キロ超の速さとスピンを利かせて高く跳ねるサーブを使い分けられフォアのリターンが不調。3時間33分の末に敗戦

 ▽14年決勝(0●3) 大会直前に右足親指を手術しながら当時世界1位のジョコビッチ(セルビア)らを破ってきたが、好調だったバックハンドにミスが続出。サービスエースを17本決められ1時間54分ストレート負け

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