大荒れセリーナ 主審に「謝れ、ウソつき」

スポーツ報知

◆テニス 全米オープン第13日(8日、米ニューヨーク) ▽女子シングルス決勝 大坂なおみ(日清食品)2(6―2、6―4)0セリーナ・ウィリアムズ(米国)

 女子テニスの大坂なおみ(20)=日清食品=が8日(日本時間9日)、ニューヨークで行われた全米オープンのシングルス決勝で元世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズ(36)=米国=を6―2、6―4で破って初制覇し、四大大会シングルスで日本テニス史上初の快挙を成し遂げた。

 4大大会23勝のセリーナは、反則宣告からいら立ち、自ら崩れていった。第2セット、第2ゲーム途中でコーチングの反則を取られたセリーナは主審に詰め寄り、「コーチは親指を立てて『カモン』と言っただけ。それはコーチングにならない。ルールは分かっているわよね?」と怒り心頭。直後のポイントで強烈なバックハンドの決定打を決めたが、映像で陣営席に目線を向けるセリーナと、両手を動かすコーチの姿がとらえられており、後でコーチも指示したことを認めた。

 第5ゲームをバックハンドのミスで奪われると、ラケットを曲がるほど思い切りコートにたたき付け、2度目のバイオレーションを受けた。チェンジオーバーで心を静め、一度はリターンを構えたものの、「15―0」のコールに怒りが再燃。主審席に歩み寄ると「コーチングは受けてないと言っているでしょう。私はウソなんかついてない。(1歳の)娘にだって分かる。謝りなさい」と指を指しながら怒鳴った。

 第7ゲームと第8ゲームの間も主審に「謝りなさい。このウソつき。私からポイントを奪ったわね」とイライラし通し。ついに暴言で3度目の反則を受け、1ゲームが大坂に与えられることが宣告されると「冗談でしょ?」。大会の審判の責任者らに対して「公平じゃない。ウソなんかついてない。主審がポイントを盗んだ」と主張した。第9ゲームはやり終えたものの、気持ちは収まらず、再度抗議し、涙を浮かべた。敗戦後は両手を広げて大坂を迎えて抱きしめたが、主審とは握手をしなかった。

 セリーナびいきの観客たちは抗議するたびに主審へ大ブーイングを浴びせた。騒然とした雰囲気は表彰式が始まっても収まらず、祝福ムードにはほど遠いまま。元女王は「彼女(大坂)がいいプレーをした」と涙ながらに称え、「彼女にとって最初のグランドスラム。もうブーイングはやめましょう」と呼びかけた。さらに「またここでプレーするから」と笑顔を作って話し、場の空気をなごませた。

 涙を浮かべる大坂を抱き寄せ、「あなたは勝者にふさわしい選手で、その幸せを感じてほしいと」と声をかけた。会見では声をかけた理由について、「私が泣いてしまって、彼女も泣いていた。勝ったのに。うれし涙か、悲しい涙かは分からないけど、私が初めて4大大会を優勝した時とは違う感情だと思った。彼女にそんな思いをしてほしくなかった。母性がそうさせたのかもしれない」と温かい笑顔で話した。

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