西岡良仁、日本男子5人目ツアー初V「僕の名前を覚えてください。錦織、ではなく西岡です」

スポーツ報知

◆男子テニス 深センオープン最終日 ▽シングルス決勝 西岡(7-5、2-6、6-4)エルベール(30日、中国・深セン)

 世界ランク171位の西岡良仁(23)=ミキハウス=が、日本男子史上5人目のツアー優勝を果たした。シングルス決勝で同67位のピエールユーグ・エルベール(27)=フランス=にフルセットで勝利。昨年3月の左膝前十字靱帯(じんたい)断裂から復活し、予選から9日間で7試合を戦い、頂点に立った。ダブルスはマクラクラン勉(26)、ソールズベリー(英国)組が制して、日本勢単複同時制覇の快挙となった。

 西岡が歴史に名前を刻んだ。昨年7月の杉田祐一(三菱電機)、今年5月のダニエル太郎(エイブル)に続く男子ツアー初制覇。「自分も、という思いがあった。みなさん、僕の名前を覚えてください。錦織、ではなく西岡です」。鳥を模したトロフィーを掲げる身長170センチの体は、深センの夜空に舞う金色の紙吹雪で見えなくなった。

 22日の予選1回戦から7試合目となった決勝。第1セットのセットポイントでは、ダブルスで4大大会3勝のエルベールが前に詰めたところに、バックハンドのパッシングショット。チャレンジ判定中にガッツポーズをしてベンチに戻り始めるほど、確信を持つ一撃を決めた。

 23歳にして「長い道のりだった」と表現した言葉は重い。世界ランクが自己最高の58位まで上がった昨年3月、マイアミ・オープン1回戦途中に左膝前十字靱帯を断裂した。リハビリ過程を動画でSNSに投稿し、大好きな乃木坂46のライブにも行き、テニス以外の世界に触れた。

 栄養学を取り入れ、遠征間の日本滞在時は体力強化を中心にして、試合を重ねても軸がブレない体になりつつある。苦しい時間は「あれを乗り越えたからこそ今がある」と思える。今年1月に実戦復帰し、全米前には敗れた相手が格上だけになり、「けが前の段階に戻っている」と、復帰への手応えを実感していた。

 喜びを届けたいのは「やっぱり親。身長的に苦しいと言われた中で支えてくれた」と感謝した。世界ランクは95位前後に戻る。大坂なおみ(日清食品)の全米制覇で盛り上がる日本テニス界に、新たな役者が現れた。

 ◆西岡 良仁(にしおか・よしひと)

 ▽生まれ 1995年9月27日、三重県津市

 ▽家族 父・範夫さん(57)、母・きみえさん(54)、兄・靖雄さん(24)は元プロ選手で現在コーチ

 ▽テニス歴 父の指導で4歳から始める。15歳でIMGアカデミー入り。2014年1月にプロ転向し、4大大会の自己最高は2回戦(17、18年全豪、15年全米)。世界ランク自己最高は58位(17年3月20日付)

 ▽代表歴 14年仁川アジア大会(韓国)で金メダル獲得。国別対抗戦デビス杯は15年9月のコロンビア戦でデビュー

 ▽SNS駆使 ツイッターは頻繁に投稿する。ツアー離脱中はユーチューブに自作動画をアップしたり、中継の解説をしていた

 ▽身長170センチ 本人は、ツアー選手で「一番小さい」という。登録身長が同じシュウォーツマン(アルゼンチン)には対抗意識?があり「背比べしたい」

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