福原愛、引退「一度も卓球を嫌いになることはありませんでした」Tリーグ理事で「恩返し」

スポーツ報知
ブログで現役引退を表明した福原愛さん

 2016年リオデジャネイロ五輪卓球女子団体銅メダルの福原愛(29)=ANA=が21日、引退を表明した。自身のブログで「私は選手としての立場を、ここで一区切りつけることを決意しました」とつづった。リオ五輪後に休養し、結婚と出産を経験。将来的な競技復帰の意向を持っていたが、理事に就任した新リーグ「Tリーグ」の開幕3日前に、競技生活に幕を下ろす決断を下した。

 「愛ちゃん」が3歳9か月から握り続けたラケットを置く。午後8時7分にブログを更新し、引退を表明した。リオ五輪後に休養していた2年間で10代の選手が台頭。「次世代の選手達が大きな成長を遂げ、日本の卓球界全体が以前より盛り上がってきました。やり切ったという思いが強くなり、選手としての立場でやるべき使命は果たせたかな、と感じるようになりました」と心境を明かした。

 福原は休養中の16年9月にリオ五輪台湾代表の江宏傑(29)と結婚。17年10月に長女・あいらちゃんを出産した。その後も復帰時期については明言を避けてきたが、子育てをしながら競技を続けたい意向は持っていた。だが、7月にTリーグの理事に就任。新リーグの開幕が24日に迫り、選手とは異なる視点から競技に向き合う中で「別な形で携わることにより、これまで以上に若い世代が成長しやすい環境を作るなど、私が卓球界、スポーツ界に貢献していけるのでは」と新たな思いが芽生えたという。

 今後は未定だが、関係者によると、生活の拠点はこれまで通り台湾に置いて家庭を大切にしつつ、後進の育成や環境作りに取り組みたい意向だ。ブログでも「何度も辞めようかと考えたことはありましたが、一度も卓球を嫌いになることはありませんでした。私は生涯卓球人なので、卓球という軸がぶれることは一生ありません。これからは選手とは別な立場で、これまで支え続けてくれた皆様に卓球を通して恩返しをしていきたいです」とつづった。

 3歳で競技を始め、テレビ番組で泣きながらプレーする姿から「泣き虫愛ちゃん」として国民的に愛された。卓球上達のために仙台出身ながら大阪、青森と拠点を移した。10歳でプロ転向すると、14歳で初出場した03年の世界選手権個人戦(パリ)でベスト8。中国リーグには16歳で参戦するなど、卓球界のあらゆる最年少、史上初を更新し「サー」という気合の声とともに、常に注目を浴びた。

 福原が日本卓球界の発展に計り知れない功績を残したのは間違いない。五輪に4度出場し、2つのメダルを獲得するなど輝かしい実績は「誇りに思いますし、これまでの全ては私の財産です」。最後となったリオ五輪はシングルスで自己最高の4位。団体はチーム最年長の主将として引っ張り、故障を抱えながら2大会連続のメダルを獲得。大粒の涙を流しながら「今までで一番苦しい五輪だった」と達成感に浸った。それから2年。30歳の誕生日を前に大きな決断を下した。

 ◆Tリーグの理事 7月1日付で15人が就任。松下浩二氏が代表理事(チェアマン)を務める。理事は福原のほか、日本協会から藤重貞慶会長、前原正浩副会長、星野一朗専務理事、宮崎義仁強化本部長。リーグ関係者では日本生命の村上恭和総監督、T.T彩たまの柏原哲郎社長、Tリーグの栗山貴行事務局長ら4人。日本バレーボール協会の荒木田裕子理事ら外部の有識者5人で構成される。

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