大坂なおみ、涙が多かったシーズン

スポーツ報知
大坂なおみ

 全米オープンで4大大会シングルス日本勢初制覇を果たした大坂なおみ(21)=日清食品=は、26日に行われたWTAファイナル1次リーグ第3戦、・ベルテンス(オランダ)戦を、左太ももの負傷による棄権で今シーズンを終えた。

 「クレイジーだった」と振り返る今季は何度も涙を流してきた。全米オープン決勝で憧れのセリーナ・ウィリアムズ(米国)を倒し、ブーイングが飛び交う異様な雰囲気の表彰式で流した涙。準々決勝では「目標の1つを達成した」喜びの涙もあった。

 苦しい涙もあった。3月のBNPパリバ・オープン(米インディアンウェルズ)でツアー初優勝し、一躍トップ選手の仲間入り。期待と注目に押しつぶされ、4月のボルボカー・オープン(米チャールストン)では試合中にサーシャ・バイン・コーチのアドバイスに涙声で応じた。5月のイタリア国際では苦手とするクレーコートで世界ランク1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)から1ゲームしか取れず、試合中に「泣きそう」ともらした。全米優勝後の中国オープン(9月)準々決勝ではアウェーの雰囲気におされ、自らの乱調も重なり泣きながらプレーをして勝った。

 シーズン最終戦で見せた涙は「見に来てもらっている人に試合を見せたかったし、この素晴らしい大会で最後まで戦いたかったし、棄権する悲しさとか…いろんな感情だった」という。本人は1月から比べて「禅のような心境。心が穏やかになっている」と内面の成長を感じているようだが、成長を表現する場である大会で何度も泣く姿は、注目されながら戦い続ける難しさを必死で受け止め耐えているように見えた。第2戦(24日)のA・ケルバー(ドイツ)戦後、体の疲労に関して「体が、まだ試合をするの?と言っているよう」と話していた。もしかしたら、心もそう言っていたのかもしれない。

 世界ランク4位。全米オープン優勝。重たい肩書に加え「出場する大会は全て優勝したい。現実的じゃないし、達成した人なんて誰もいなのに」と考える完璧主義。一方で「でも、まずは目の前の試合に集中すること。それが次につながっていく」と理解し実行しようとしている。泣きながらでも戦い抜いた2018年シーズンは「多くの新たな経験ができた」。涙の数だけ、以上に強くなるのを期待したい。

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