【佐々木クリスの目】渡辺雄太のNBAデビューは東京五輪&バスケのメジャー化へ導く

スポーツ報知

◆NBA グリズリーズ117―96サンズ(27日、テネシー州メンフィス)

 現役時代はbjリーグの千葉ジェッツでプレーし、現在はBリーグ、NBAの解説者として活躍する佐々木クリス氏(37)は渡辺雄太(24)のデビュー戦のプレーぶりを高く評価。「日本のバスケット界に計り知れない意義がある」と指摘した。

 世界最高峰リーグで日本人選手がコートに立ち、得点に絡むというのは、とても感慨深い。この日をどれだけ心待ちにしたことか…。

 渡辺選手自身は「緊張した」と振り返っていたが、いつもと変わらない姿に見えた。コートを駆け上がるスピード、味方を生かすためのスクリーン。長いことベンチで見ていたにもかかわらず、よく足も動いていたし、持ち味であるディフェンスの万能性も見せられた。できるだけのことをやってやろうという姿勢が、いい流れを呼び込んでいた。

 デビューの意義は計り知れない。1つの競技がメジャー化するためには、代表チームが五輪でメダルに絡むか、海外で成功を収める選手が現れる、という道がある。テニスでいえば錦織選手、大坂選手の活躍が今、日本中を巻き込んでいる。渡辺選手に続けと、多くの選手がNBAを目指すようになるだろう。そうやってNBAが日常になれば、Bリーグの認知度の高まりと合わせ、よりバスケットボールが日本の文化として成熟していくのではないか。もちろん渡辺選手の存在自体が、東京五輪出場への後押しにもなるだろう。

 彼はこれが当たり前のゲームじゃないことは分かっていながら、さも当たり前のように振る舞っていた。だから、僕も「おめでとう、素晴らしかったね」とは言うけれど、過剰にもてはやすのはやめようと思う。まだまだ、この日の4分間はスタートにすぎないからだ。

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