アルバルク東京・SG田中大貴、Bリーグ連覇&東京五輪、必ず!

スポーツ報知
アルバルク東京の田中大貴(カメラ・頓所 美代子)

 3シーズン目を迎えたバスケットボール男子・Bリーグ。アルバルク東京を昨季初優勝に導き、日本代表としても2020年東京五輪を目指す中心にいるのが、シューティングガード(SG)田中大貴(27)だ。渡辺雄太(24)が日本人2人目となるNBAデビューを飾るなど、上げ潮ムード著しい男子バスケ界。激しい競争の中で自分を磨くクールな背番号24の姿に迫った。

 昨季はCS(チャンピオンシップ)でMVPに輝くなどリーグ初制覇に貢献し、充実の1年になった。2連覇。当然の期待に、気負いなく応える自信がある。

 「どのチームも自分たちを倒そうとやってくると思いますし、相手のパワーをどれだけ上回れるかだと思う。個人の持っている力を上げないといけないし、チームとしても完成度を高めないといけない。形の上では昨季王者と見られるけど、チャレンジャーなので。(ルカ・パビチェビッチ)HCも『昨シーズンの優勝は誰に奪われるわけでもなく、自分たちのもの。今シーズンは、新しいタイトルを取りにいくチャレンジだ』と。チームとして最低限いい状態で来ていると思うし、個人としての状態も徐々に上げられればいい」

 16年秋に開幕した新リーグは、創設3年目のシーズンに入った。進歩と課題を肌で感じる日々だ。

 「周りの方の認知も少しずつ上がっているのは、いい傾向にあると思う。観客数も増えているし、実際に生活していても声をかけられる回数が増えている。ただ、やっぱりリーグが年数を重ねていくと、新鮮味が失われがちだと思う。選手はコートの上で、どれだけ見に来てくれる方の心を動かすようなプレーができるか。NBAに在籍していた選手も流れてきている。リーグの質は今後も、どんどん上がっていかないといけない」

 東海大在学中の14年、当時はNBLに所属していたトヨタ自動車(A東京の前身)に加入した。プロ化の前後で、自分の考えも大きく変わった。

 「Bリーグになる前は、どうしても実業団のチームだったし、企業がバックについているという考え方。でも、今は自分たちの試合にどれだけお客さんが来てもらって、そのチケットでどうなるか、というふうにガラッと変わった。より結果を残さないと評価してもらえない厳しい世界になっているし、ファンの皆さんもだんだんと、そういう目線になっているのではと思う。選手やチームを厳しく見てもらうことも、レベルが上がるには大事」

 厳しさは、自分を成長させてくれる。トルコのリーグを観戦した時に目の当たりにした光景。もっと日本も厳しくていいと思う。

 「ホームのチームが負けると、観客席からボンボンボンボン物が投げ入れられていて。選手に当たらないように、ベンチの上に屋根が付いているんですよ。すごいな、って思ったし、ファンの人たちも本気でやっているし、相当なプレーをしないと認められないんだと思った。そういう方向にいけば、もっと自分たちもホームを守ろう、期待に応えよう、とお互いにいい感じになるのではと。もっとシビアになってきていいのかな、と思いますね」

 もちろん、声援もまた大きな後押しだ。コートからスタンドを見て、確実に浸透しつつあるチーム人気に勇気づけられている。

 「ファンの中にも応援リーダーみたいな人がいて、応援グッズを作ってくださったり、見ていて分かるので。より一体感を感じるようになってきている。昨季リーグ優勝した時も(横浜アリーナまで)たくさんの方が来てくれて、ファンも含めて良い方向に向かっているなと」

 日本代表での刺激もまた、大きな成長の糧。先月には代表の同僚でもある渡辺雄太が、グリズリーズで田臥勇太(現・栃木)に続く日本勢2人目のNBAデビューの快挙を果たした。代表の活況は、バスケ人気に直結すると考えている。

 「彼が日本代表に初めて入った時から知っているから、自分のことのようにうれしかった。Bリーグや海外でプレーする、という目標をもつ子供たちには、すごく希望を与えるいいニュースだったと思う。代表が活躍すればもっと国内でのバスケ人気は出てくるし、自分はそれが一番近道だと思う。代表が何とか結果を残したい、その中で自分も結果を残したいということはいつも思っている」

 息抜きは、アスリート仲間との食事会。柔道の羽賀龍之介(27)、陸上の飯塚翔太(27)ら、同年代のアスリート仲間と囲むグルメが、刺激とリフレッシュだ。

 「羽賀選手は大学が同じ(東海大)で当時から仲良くしていて、彼は横の関係が広いので、食事に呼んでもらって。トレーニングの話をしたり、試合を見に行ったり見に来てもらったり。交流のある他競技の選手が五輪でメダルを取るのを見ると、刺激になりますよ。アスリートをやっている以上、五輪は誰もが憧れる舞台。どれだけ五輪開催期間中に盛り上がるのかも知っているし、単純に羨ましい思いもある」

 20年東京五輪。開催国枠での出場には代表チームが一定の結果を残すことが条件となっており、国際連盟(FIBA)の判断次第。12月の理事会で審議される見通しとなっている。舞台に立てることを信じ、目前の一試合でのパフォーマンスに集中するだけだ。

 「今はずっと代表に選んでもらっているけど、バスケ界が盛り上がっていく中で、以前より競争は激しくなると思う。競争に勝ってメンバー入りしないといけないし、選ばれるだけじゃなくて活躍もしないといけない。大きな目標はあるけど、先のことを考える余裕はあまりない。本当に目の前の一つの練習に全力で取り組んだり一生懸命、準備するしかない。一試合一試合を大事にしたいですね」(ペン・細野 友司)

 ◆田中 大貴(たなか・だいき)1991年9月3日、長崎・雲仙市生まれ。27歳。富津小2年時に競技を始め、小浜中、長崎西高を経て東海大進学。2012年に日本代表に初選出され、アジア杯準優勝に貢献。在学中の14年にNBLのアーリーエントリー制度でトヨタ自動車入り。192センチ、93キロ。

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