【高校ラグビー】黒沢尻工、勝利も伊藤監督「今季一番悪い」ミス連発FW陣にイライラ

スポーツ報知
横断幕の前で懸命に突破を図る黒沢尻工・阿部有(右)。前半28分にはトライを挙げた

◆全国高校ラグビー第3日 ▽2回戦 常翔学園67―0桐生第一(30日・花園ラグビー場)

 Bシードの黒沢尻工(岩手)が初戦の2回戦で、静岡聖光学院(静岡)に17―12と辛勝した。最後まで動きの硬いFW陣に、伊藤卓監督(44)は「今季一番悪かった」と酷評。勝って反省し、同じBシードの常翔学園(大阪第3)と当たる3回戦(来年1月1日)は本来の姿で強豪校に挑む。

 勝ったというのに、試合後の指揮官の表情はさえなかった。黒沢尻工・伊藤監督は「まったくFWがダメだった。今季一番悪かったと思う」とバッサリ。12―12の後半25分、敵陣22メートルライン付近のラインアウトからモールで押し込み、最後はフランカー北田卓寛(3年)が勝ち越しトライを挙げたが、それも「たまたま。意図した形ではなかった」(伊藤監督)と最後まで評価することはなかった。

 勝利への強い思いが動きを硬くした。「緊張もあるけど、やってやろうという気持ちが空回りしてしまった」と振り返ったのはセンター佐藤稜真主将(3年)だ。空回りしてノックオンなどミスを連発し、取り戻そうとして焦りを生む悪循環を修正できなかった。「(普段の)20%も出せたかどうか…。不甲斐(ふがい)ない」と佐藤主将は唇をかんだ。

 FW陣の奮起を促すには理由がある。伊藤監督は「FWが前に行ければBKにもいい影響が出る」。前半7分、FB手束勇陽(3年)の約60メートル独走の先制トライも、FW陣が前に出てプレッシャーをかけて蹴らせた、相手キック処理からのカウンターだった。FW陣の頑張りなくしてチームは輝かないからこその厳しい言葉なのだ。

 3回戦は同じBシードの常翔学園と対戦する。佐藤主将は「日にちは短いけど気持ちは変えられる」と、メンタル面を修正して臨むと決意。心を整え、関西の強豪校に持てる力を全てぶつけて白星をつかみにいく。(有吉 広紀)

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