【高校ラグビー】大阪桐蔭、2大会連続決勝!今年こそ史上初の野球部と同一年後アベックVだ

スポーツ報知
後半、トライを決め、跳び上がって喜ぶ大阪桐蔭・河村レイジ(中央=カメラ・義村 治子)

◆全国高校ラグビー第5日 ▽準決勝 大阪桐蔭31―17流経大柏(5日・花園ラグビー場)

 準決勝が行われ、前回準優勝の大阪桐蔭(大阪第1)はフランカー河村レイジ(3年)の2トライなどで流通経大柏(千葉)を下し、2大会連続で決勝へ進んだ。桐蔭学園(神奈川)はフランカー西山周作(3年)の攻守にわたる活躍などで東福岡を振り切り、3大会ぶりに決勝進出。7日の決勝は別法人ながら“桐蔭ダービー”となった。初優勝を狙う大阪桐蔭が勝てば、甲子園で春夏連覇を成し遂げた野球部と史上初の同年度アベックV、桐蔭学園が勝てば東福岡と同点優勝した10年度以来2度目の優勝となる。

 大阪桐蔭が“肉弾戦”を制し、2大会連続の決勝進出を決めた。前半は相手FWに苦しめられ、今大会初の先制を許すなど5点リードで折り返し。しかし後半4分と11分、ラックからの連続攻撃でフランカー河村が連続トライを奪い、一気に突き放した。「やることをやってたまたまトライを取れた。みんなでつかんだ勝利」。FWが一体となってつかんだ2トライに、殊勲の河村は冷静だった。

 普段はバックスのサポートに回ることが多い河村の2トライに、綾部正史監督(43)は「珍しい。ちょっとビックリ」と目を丸くした。河村は1年の12月に行われた練習試合中に右膝前十字じん帯を断裂。2年の10月に復帰したが花園には間に合わず、前回大会の準優勝はスタンドから見届けた。「悔しさをバネにやってきた。やっと出場できた」。自宅から自転車で20分と近く、幼い頃からよく観戦に訪れた聖地で、しっかりと足跡を残した。

 「レイジ」というカタカナの名前は1990年代後半に人気を博した米ロックバンド「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」にちなみ、大ファンの両親がつけた。河村自身は人気ラッパー・エミネムのファンだが「覚えてもらいやすい」とお気に入りだ。優勝経験のない大阪桐蔭には、初の栄冠に導く決意で入学。「(大阪)桐蔭の歴史を変えるのを成し遂げたい」と決勝もロック魂全開で臨む。

 史上初となる野球部との同年度アベック優勝まであと1勝。「去年とは違う結果を求めていきたい」と指揮官が闘志を燃やせば、18歳の誕生日を勝利で飾ったセンター松山千大主将も「次のゲームをとるために1年間やってきた。必ず勝って優勝したい」と力を込めた。前回大会の悔しさを晴らし、今度こそ悲願の頂点に立つ。(筒井 琴美)

 ◆決勝進出2校は別法人 ともに私立共学校。桐蔭学園(横浜市)は創立、ラグビー部創部とも1964年。学校法人は「桐蔭学園」で系列大学は桐蔭横浜大。大阪桐蔭(大東市)は創立が83年、ラグビー部の創部は88年。学校法人は「大阪産業大学」で系列大学は大産大。

 ◆花園&甲子園 冬の全国高校ラグビーと、春、夏の高校野球甲子園大会を同年度に制覇した学校はない。王手をかけたのは天理(奈良)と大阪桐蔭。1990年度の天理は南竜次(日本ハム)、谷口功一(巨人など)を擁した野球部が夏の甲子園で優勝。ラグビー部も俊足FB渡辺大吾(明大から競輪選手)らで決勝へ進出したが、熊谷工(埼玉)に敗れた。昨年度の大阪桐蔭は野球部がセンバツ優勝。ラグビー部は上山黎哉主将(帝京大)らの奮闘及ばず決勝で東海大仰星に敗れた。今年度、野球部は根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)らを擁して春夏連覇を達成している。

 ◆西谷監督「ぜひ達成して」全員で駆け付ける 〇…決勝進出を決めた大阪桐蔭の応援に、昨年の甲子園で春夏連覇を達成した野球部が駆けつける。西谷浩一監督(49)は松山主将の担任も務めており、「日本一をぜひとも達成してもらいたい」とエール。根尾、藤原らプロ入りした4選手を除く1~3年の全員がスタンドから声援を送る。野球部はこの日、史上初のセンバツ3連覇と3季連続の甲子園優勝に向けて始動。昨秋の近畿大会は準々決勝で敗退し、今春センバツの出場は微妙だが、指揮官は「(記録に)挑戦できるように頑張りたい」と、25日の選考委員会で吉報が届くことを祈っていた。

 ◆河村 レイジ(かわむら・れいじ)2000年6月3日、大阪・東大阪市生まれ。18歳。小4時に「東大阪ラグビースクール」で競技を始める。小阪中でもラグビー部に所属し、大阪桐蔭へ。高校日本代表候補。185センチ、84キロ。家族は両親と弟。

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