錦織圭「やっとタイトルが取れた」3年ぶりV ツアー大会決勝9連敗で止めた

スポーツ報知

◆テニス ブリスベン国際最終日 ▽男子シングルス決勝 錦織2―1メドベージェフ(6日、オーストラリア・ブリスベン)

 男子シングルス世界ランク9位の錦織圭(29)=日清食品=が、2年11か月ぶりのツアー優勝を果たした。決勝で同16位のダニル・メドベージェフ(22)=ロシア=を6―4、3―6、6―2で下して初制覇。優勝賞金9万990ドル(約992万円)を獲得した。決勝での連敗を9で止め、2016年2月のメンフィスオープン(米国)以来となる通算12勝目。14日開幕の4大大会初戦、全豪オープンで日本勢男子シングルス初の4大大会制覇に挑む。

 けがを乗り越えタフになった錦織が2年11か月ぶりの優勝トロフィーを掲げた。マッチポイント、ネット前に出てきたメドベージェフの横を抜くパッシングショットが青いコートに落ちた。「8回目の出場でやっとタイトルが取れた。けがからここまで回復できてうれしい。チームのみんな、ありがとう」。陣営席のダンテ・ボッティーニ・コーチらに向かって拳を突き上げる。待ちに待った12勝目に最高の笑顔を浮かべた。

 最終セットで錦織らしい、強気なテニスがさく裂した。2―1の第4ゲーム、メドベージェフのミスが重なり得たブレイクチャンス。コートの内側に入り込んでフォアで攻め込み、最後は右ライン際に強打を叩き込み取り切った。続く第5ゲームもコンパクトに振り抜き決定打。「カモーン!」の大声が響き渡った。

 昨年10月の楽天ジャパンオープン決勝では完敗した相手に第1セット3―0と先行されたが「(強く)打っていかないと」とリスクを負ってサーブを攻略。3―3の第7ゲームではバックハンド側への第2サーブに回り込んでフォアで叩きリターンエースでブレイクに成功。第2セットは8度のブレイクチャンスを逃して失ったが、最終セットで再びギアを上げてみせた。

 2017年8月に右手首を故障し、1年前はツアー大会で戦えるレベルまで戻っていなかった。復帰後も「一生痛みを抱えていくのか」と不安を抱えた。ただ、リハビリ期間中に集中的に取り組めたフィジカルトレーニングが実を結び、毎年のようにあった負傷欠場はゼロ。ツアー20大会64試合を戦い、迎えたオフも「けがなくトレーニングできる体」でさらに強くなった。

 大会直前の昨年12月29日に29歳の誕生日を迎え、20代最後のシーズンとなった。2年ぶりのトップ5返り咲きを掲げ、さらに「何か特別なことを成し遂げたい」目標もある。“特別”といえば当然、日本男子シングルス初の4大大会制覇。「レベルの高い試合ができて優勝できたのはすごく自信になる。いい準備で全豪に向かえる。これがゴールではない。今週みたいなプレーができれば上位に行けると思うし、自信を持ってやりたい」。前哨戦のタイトルを手に最高の状態でメルボルンに乗り込む。

スポーツ

×